中国共産党の「浸透工作」 大紀元評論・謝天奇

日本へ戦争賠償請求しなかった中国共産党 国交正常化後のODAに続く「反日」利用(1)

2017/01/25
更新: 2017/01/25

1972年、日中国交樹立直前、周恩来は当時訪中した竹入義勝・日本公明党委員長に対して、毛沢東から承認を得た中国側が制定した『(日中)共同声明草案』八項目を披露した。同『草案』の中で、「日本に対して戦争賠償を請求する権利を放棄する」内容が含まれていたため、日本や世界各国を驚かせた。

戦争賠償放棄 共産党の大きな企て

第二次世界大戦の戦勝国となった中国は、日中戦争中に甚大な被害を受けた。72年の価値で換算すると、日本軍が中国を侵攻した14年間に、中国が受けた直接損失が1200億ドルで、間接損失が5000億ドルに上る。72年になると、日本はちょうど高度経済成長期の後期にあたり、中国に賠償する経済力があるにも関わらず、なぜ中国共産党が戦争賠償の請求を簡単に放棄したのか? 実に日本に対して大きな企みがあった。

中国ポータルサイト大手「騰訊網」が2012年に掲載した「戦後中日関係シリーズ」(中国語:“战后中日关系”系列)と題した歴史関連記事の第1回目で、中国共産党が賠償を放棄した一部の内幕を明らかにした。

同記事は「史料が限られているため、大陸側(中国共産党政権)が日本に対して戦争賠償請求の政策変化について全面的に評価し難い。ただ、はっきりしていることは、50年代以降(中国共産党は)賠償請求を放棄する方針を採ってきたということだ」と報じた。

スターリンが中国共産党に指示「日本の反動分子を打撃せよ」

同記事は、1949年6月、劉少奇が中国共産党中央代表団を率いてソ連を訪問し、スターリンと会談した際、同氏が日本への戦争賠償について言及したと伝えている。

それによると、スターリンは「今、米国は日本を手に入れようとしている。そうなれば、中国の抱える問題はますます大きくなる。中国国民の日本国民に対する憎しみの感情が、中国共産党が日本を手に入れるための障害にならないように。これからの中国共産党の任務は、日本共産党とその他の進歩的勢力を援助し、日本の『反動分子』を打撃することだ」と指示したという。

同記事は、「中国とソ連はこれ(スターリンの指示)に同意した。日本国民(の中国共産党への支持)を獲得することは、中国共産党が政権を取得した後の、対日政策の基本指針となる。その後、1949年7月1日、中国共産党中央が発表した日中戦争開戦12周年を記念する評論記事において、初めて『日中両国国民が団結し、米国による長期的な占領に反対せよ』とのスローガンを打ち出した」と記した。

この基本指針に基づき、日本への戦争賠償請求は、中国共産党と米国との間で争われる「日本を獲得する」ための重要な切り札となった。日本国民や政界を中国共産党の味方にして丸め込むため、周恩来は公の場で「日本軍国主義が中国への侵略戦争を起こして、中国国民に甚大な損害と犠牲をもたらした。しかし、戦争の責任を日本国民に負わせてはいけない」と繰り返して発言した。

(つづく)

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(文・謝天奇、翻訳編集・張哲)