孔子学院の問題 中国共産党の浸透工作

米FBI、孔子学院をスパイ容疑などで捜査対象「米国社会の脅威」

2018/02/21
更新: 2018/02/21

2月13日、アメリカ連邦議会上院の情報委員会の公聴会でクリストファー・ライ(Christopher Wray)FBI長官は、米国にある中国政府対外機関「孔子学院」について、スパイ活動などの違法行為に関わる疑いで、捜査の対象にしていると公言した。

英メディア・ビジネスインサイダーによると、ライ長官は公聴会で、複数の孔子学院に対して、中国共産党思想のプロパガンダ拡大だけでなく、米国政府関連の情報までも違法に入手するスパイ活動にかかわっている容疑があり、捜査していると述べた。

ライ長官は、米議会の「中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)」の委員長を務めるマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員の質問に応える形で、次のように述べた。「世界における米国の軍事、経済、文化、諜報力を引き下げる目的で、中国は国家主導で動いている」「これを国家の脅威のみならず社会の脅威ととらえ、米国は全面的な対応を取る必要がある」。

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同公聴会に出席した国家情報局(DNI)局長ダン・コート(Dan Coats)氏も、FBI長官の回答に合わせて「中国側は非常にスマートに、効率的な手法で動いている」と危機感をあらわにした。また、中国による世界的な浸透工作を調べるため、すでに複数の機関が調査を行っていると明かした。

中国科学院によると1月末、北京の中央当局は孔子学院関連組織に対して「全面的に深く改革する」「新時代の発展のために行動に移すよう」あらめて指南する通達を出した。1月まで世界146の国と地域に置かれる525カ所の孔子学院を、2020年までに1000カ所設置を達成するという。

カリキュラム、投資額、透明性のない大学側との契約

世界で最も孔子学院を有する国は、米国だ。2018年2月までで110の大学に置かれている。2月15日に開かれた米連邦下院議会の軍事委員会に出席した国際政治学教授アーロン・フリードバーグ氏は、中国の資金提供側と、大学や教育機関の受け入れ側とで、契約内容が不透明であることに懸念を示した。

米ワシントン・フリー・ビーコン2月19日付によると、大学側がどれほどの投資を受けたのか、単位の取得、カリキュラムの承認など、多くの契約条件は公になっていないという。

記事はまた、財政難にあえぐ米国の公立大学や教育機関が、潤沢な資金と中国語資料を提供する孔子学院に、中国語教育科目や授業を「丸投げ」していると指摘した。

米国で孔子学院に対して厳しい論調をけん引する、シカゴ大学名誉教授のマーシャル・サーリン氏(Marshall Sahlins)は、『孔子学院は政治的議論を検閲し、自由なアイデアを抑制する』と題した米誌ネイションへの寄稿文で、「なぜ大学側は孔子学院を受け入れるのか?シカゴ大学のように、これを排除しなければならない」と主張している。同大学は2013年に孔子学院との契約を打ち切った。

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(文・佐渡道世)