四川大地震被災地:母のいない「母の日」

2009/05/10
更新: 2009/05/10

【大紀元日本5月10日】扶貧基金会統計によると、四川省地震災害区では4万人の子供が母親のいない『母の日』を過ごした。子供たちは手にした生花を天国の母に送っていたという。

照り付ける太陽の下、四川省北東部の広元市青川県東河口の地震遺跡公園では赤い上着に長い髪の少女が地震被災者記念碑の前に静かにたたずんでいた。石碑には地震で亡くなった人々の名前がびっしりと刻まれている。少女の両親の名前もこの中にある。この先、どうするのかというはっきりとした希望は彼女の心の中にはない。今はただ一緒に生活している叔父の傍を離れたくないのだという。河南商報が伝えた。

何小倩ちゃん(12)はぼんやりと石碑に刻まれた文字を見つめている。両親を失った後、しばらくの間、いつも一人でぼんやりと過ごし、快活な性格だった彼女は無口に変わってしまったという。彼女はあまり涙を見せず、心の中に閉じこもり、ある時は話している途中で突然むこうへ走って行き、ぼんやりとする。いやな事があった時、彼女は一人で地震遺跡公園まで走っていくのだと小倩ちゃんの叔父である先倫さんは話す。

小倩ちゃんと同じような話は全ての被災地区で聞かれる。最近ある中国大陸ウェブサイト上において、「天国への手紙」という地震で愛する新族を失った子供たちを励まそうという活動が発起された。

「何度、夢の中で泣いて目を覚ましたか分からない」

「親愛なるお母さん――この1年、何度夢の中で泣いて目を覚ましたのか分かりません。目が覚めたらベッドの傍でやさしく私を見つめ、起こして食事をさせ学校に送り出して欲しい。でもそれは叶わない事だと分かっています。あなたは永遠に私から離れてしまった。お母さん、もしまだ私とお父さんの事を気に掛けていてくれるのなら、どうか夢の中で私達に会って下さい」。

これは地震で母親を失った、ある女子中学生が手紙の中で母への思い、思慕の念を訴えたものである。母親を失った子供の訴えはとても辛いものだ。一万人を超えるネットユーザーがこの手紙に深く感動し、あるユーザーは“母親”名義の返信を送り、痛手と決別し、未来と向き合うように彼女を励ましたという。

扶貧基金会と捜狐網が共同で展開した孤児養育補助項目は四川被災地区において3千6百人の孤児を援助し、毎年一人につき千2百元の補助金を支給している。しかし、さらに3万人の孤児が援助の手を必要としているのだという。

(翻訳編集・坂本)