【大紀元日本7月14日】中国では最近、言語の使用に関して、北部と南部の中心地で二つの政策を同時に推進している。首都北京では最近、「首都言語環境建設計画」を発表。「美容師から警察官まで」市民全体の英語強化をはかり、北京市を「文化面で有名な都市」から、近代的な「世界都市」に一変させようとするキャンペーンを実施している。
一方、南部の広東省省都・広州市では、広東語をメインにしたテレビの放送中止や、学校での広東語使用制限規定を政府が打ち出したことで、市民が大きく反発し、抗議活動にまで発展している。
国営英字紙「環球時報」(Global Times)12日の報道によると、北京市当局は先日、「美容師から警察官まで市民全体」の英語強化計画を発表した。今後5年間で、北京市でテレビ・ラジオの英語放送や英字新聞が開始されるほか、市内の全ての幼稚園で英語教育が導入される。また、サービス業にたずさわる40歳以下の従業員や美容師の60%以上、警察官の80%に、英語の資格試験に合格することを義務づける。
「タスクを完成できない部門や企業は、公開批判の対象になる」と同計画は規定し、各区や各県の政府に、詳細な実施案の設定を要求している。
2008年の北京五輪開催に向けて政府が導入した教育プログラムを最近改定したもので、「北京で働く外国人や留学生の利便性を高め、国際関係や国際協力を促進させる」ことが目的。
一方、南部の中心都市・広州市では、「普通話」(共通語)と並んで主要言語として使われている広東語について、市民の日常生活での使用を制限していく動きを採り始め、広東語を母語とする地元市民の猛反発を招いている。
広東省主要紙「南方日報」7月6日の報道によると、広東省政府は最近、これまで広東語をメインにした広州市のテレビ局放送を全部または一部中止し、共通語の放送に切り替える方針を打ち出した。
広東語使用制限について、広州市当局は、今年5月から6月にかけて2週間にわたりアンケート調査を実施したが、8割の調査対象が反対。賛成2割のみの結果にもかかわらず、当局は制限方針を採用した。市民の教養や素養を上げる目的のほか、今年開催される「アジア競技大会」に向けて、観光客や国内外の訪問者の言語環境に配慮するためだという。
一部の政府関係者は「共通語を使うことは、広東人が中央政府と深く同化する上で有利」とし、地方主義の産物である広東語は、社会の調和を妨げるとの見解を示している。
また、市内の一部の小中高でも、校内での広東語の使用を禁止する動きが出ている。
当局の方針は、広東語を母語とする地元市民の大きな反発を招いた。「羊城晩報」12日付けの報道は、「広東人による『広東語保護戦争』が勃発」と表現するほどだ。
ここ数日、現地のインターネット、新聞、テレビで激論が展開されており、広東語、広東文化、広東人の存亡にまで問題が拡大されている。7月9日から、広州市の若者たちが、ツィッターで政府に抗議するよう市民に呼びかけている。7月11日午後5時頃に行われた市内の「人民公園」での集会では、広東語による歌合戦が行われ、広東語とその地域文化を政府にアピールした。
広州市政府の政治協商会議委員・韓志鵬氏は、反対者の一人。同氏がツィッターで本件を明らかにしてから、数時間以内に4千件を超す書き込みと数千件の転載があり、広東語への強い支持が窺えるという。
インターネット掲示板上の同件についての議論では、政府批判の声が強かった。「広東語は中国古代言語の要素を最も多く保有している言葉。嶺南文化の基本であり、中華民族のルーツとも言える」などの、地方文化を守る観点からの声や、「清朝が内陸に侵入したとき、漢民族に髪を編むようにと強要した時代を思い出す」「少数民族の文化を殺してきたが、今回の政策は、漢民族文化さえ許さないことを示しているようだ。元々西洋から侵入した〇〇党(共産党を指す)は、数年に一度、文化大革命を起こして、中国文化を常に破壊している」などの、当局の伝統文化破壊を厳しく批判する言論もあった。
方言の使用制限に関しては、広東が初めてのことではない。上海市では数年前から、幼稚園のときからすでに学校での上海語の使用を禁止しており、現在、上海のほとんどの児童は、上海語を話せない上海人となっている。
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