117年の歴史ある古寺、土地収用で破壊される=福建省

2013/12/13
更新: 2013/12/13

【大紀元日本12月13日】福建省福州市に建つ117年の歴史ある瑞雲寺が8日、土地収用の目的で市当局により取り壊された。この寺に仕えていた尼僧の2人(70歳と84歳)は3年前に収用が通知されてからこれまで反対する姿勢を示していた。しかし2人の願いも虚しく、仏像を含む文化遺産は破壊されてしまった。

 1896年に瑞雲寺は建造された。祀られていた仏像は同地方では歴史的建造物として有名で、中国の仏教では重要なシンボルとしての地位を保っていた。しかし同市の都市開発計画により3年前に寺の建つ境内も収用の対象となった。

 中国の法律では、開発計画により宗教関連施設を破壊する場合、地方当局は対象の宗教団体から許可を得なければならない。瑞雲寺の尼僧2人は決して収用に同意しなかった。しかし2人には拒否できないよう市当局は工作したという。報道によると、当局は多くの地元住民を参加させた土地管理組合を組織し、尼僧2人と支持者らを排斥するよう働きかけたという。

 3年経っても双方の合意には至らなかった。寺の取り壊しに反対する尼僧2人や支持者は、補償金が出るのかどうか、どこへ反対の声を届ければいいのかさえわからなかった。

 ついに強制取り壊しが始まった。12月8日朝、撤収用の重機と防護服を身につけた警官が瑞雲寺を取り囲んだ。午前9時に重機が寺を破壊し始め、夜9時には仏像を含むすべての文化的遺産が瓦礫になってしまった。

 文化大革命時、中国ではこのような酷い光景が各地で見られた。時代錯誤な当局の手法を批判するコメントがミニブログ微博では相次いだ。ユーザーの三水吉喵は「このようなことを現代の政府がするなんて、過去の歴史のことではないの?」とつぶやいた。また多くのユーザーが政府の拝金主義と仏教施設を侮辱したことは「大きな業を作った」とも述べている。

 取り壊しの日、市民ジャーナリストが撮影したビデオには、寺内部で84歳の尼僧が静かに最後の礼拝を行う様子が写っていた。礼拝は取り壊しのわずか20分前に行われた。
 

 (翻訳編集・佐渡 道世)