「屋外運動控えて」 中国で深刻な大気汚染 毎年36万が死亡

2011/12/08
更新: 2011/12/08

【大紀元日本12月8日】中国総工会機関紙・工人日報は2日、工業発展や自動車の増加などの影響により、中国は世界で最も大気汚染が深刻な国のひとつであると伝えた。58%の都市の空気中には、世界保健機構(WHO)が定める基準値の5倍の浮遊粒子状物質が含まれており、人々はこれらを「掃除機」のように吸いこんでいるという。

さらに、毎日有害物質を含む空気を吸いながら生活している中国都市部住民にとって、この深刻な大気汚染は、肺癌発育不良神経障害などの症状を引き起こす要因となる、と同報道は専門家の警告として伝えた。

 「数億人の運動が室内に限られる」

中国環境科学の報告では、深刻な大気汚染によりスモッグが頻繁に現れ、上海、広州、深セン、天津などの大都市ではスモッグが1年のうち3割から5割の頻度で発生しているという。最近の英国が行った調査でも、中国が1年間で排出する二酸化炭素は94億トンを超えると報告されている。

WHO勧奨基準が1立方メートル中の浮遊粒子状物質20マイクログラムであるのに対し、中国では40マイクログラム以下の都市はわずか1%。58%の都市大気中には100マイクログラム以上の浮遊粒子状物質が含まれているため、WHO基準値ではほぼ全ての都市が不合格ということになる。

浮遊粒子の中でも、粒径2.5マイクロメートル以下の「PM2.5」は健康に重大な影響を及ぼすと考えられている。しかし中国では現在、「PM10」の粒子状物質を測定対象としている。研究により、PM2.5は気管や肺胞の深部へ入りやすいため、肺硬化症、喘息や気管支炎、心血管疾患などを引き起こすことが明らかになっている。

これらの粒子状物質には空気中のウイルス、重金属などの物質も付着しており、呼吸器、生殖器、神経系統などに影響を及ぼす。専門家は、スモッグが発生している時の屋外でのスポーツ活動は自殺行為であり、将来、数億人の都市住民の運動は室内に限られるだろうと警告している。

 深刻な汚染は人災

工人日報によると、中国では毎年約36万の都市住民が大気汚染により死亡し、60万人が入院をしているという。しかし中国当局は空気汚染指数の基準は独自のもので、WHO基準をよりずっと低い。そのため伝えられている指数は常に「良好」だ。

先日、WHO世界保健機関が世界1081都市の大気中の粒子状物質の濃度を測定し、各都市に順位を付けた。中国は18都市の都市が1000位以下に並び、その中で北京は1035位であった。

深刻な大気汚染やスモッグが頻繁に発生するのは「人災」であると国内報道は伝えている。自動車の激増が一つの要因であり、中国では今年6月までに車両台数が2億台を突破した。これらが大量に窒素酸化物や粒子状物質などを排出し、直接空気を汚染している。また、中国は世界の工場となった後、汚染企業が大幅に増え、多くの緑地や農田を占用した。この他、都市が密集し汚染物が拡散しにくくなったことも挙げられている。

 (翻訳編集・坂本)