デンマーク第三の都市・オーデンセの劇場は10月、来年4月に予定されている、中国伝統文化の復興を理念に掲げる神韻芸術団(本部=米NY)の公演をキャンセルすると決定した。同市議員や国会議員は劇場側が中国当局の圧力に屈したと批判した。現地メディアはわずか2週間という短期間に集中して30回以上、この出来事の報道を行ったので、市民は神韻公演に関心を高めた。
公演主催側の法輪大法デンマーク佛学会は2年前から、オデオン・ミュージック・シアター・ホール(Odeon、以下オデオン)に劇場の利用を問い合わせしていた。双方の「40〜50回のやりとり」を経て、双方は施設貸出に合意し、今年10月9日にデンマーク佛学会は契約草案を受け取った。同月14日、双方は来年4月2、3日の神韻公演の開催について、口頭で合意し、翌日15日の午前に正式の契約を結ぶことにした。
しかし15日になると、オデオン側から突然、「4月2、3日に他の大型会議とダブルブッキングしたため、施設を貸し出すことはできない」との連絡が入った。
主催側は劇場側に対して交渉を続けたが、大きな進展はなかった。オーデンセ市政府が同劇場の所有者であるため、主催側は市政府や市議会と地元のメディアに公開書簡を送り、公演中止の背景には中国当局の圧力があったと指摘した。
これを受けて、オーデンセ市のファインス・ステフィスティデンデ紙(Fyens Stiftstidende)やテレビ放送局「TV2」などは11月相次いで、神韻公演の中止を報道した。一部の市議員がメディアに対して、劇場側の決定を非難し、経緯を説明するよう呼び掛けた。しかし、オーデンセ市のユエル市長は憶測に基づいた話だとして、調査に消極的だった。
12月に入って、デンマークの国会議員も公演の中止について関心を示した。4日の国会では、ペニーレ・ベンディクセン(Pernille Bendixen)議員(国民党)が、アストリッド・クラッグ(Astrid Kragh)内務大臣に対して、神韻公演をめぐって質疑を行った。議員は、ユエル市長が経緯を調査しない方針に不満を示し、「市当局が中国当局の圧力を恐れて、忖度して自己検閲を行った可能性がある」と指摘した。
いっぽう、同日オデオンの上層部が声明を発表し、今後同劇場の主要業務を芸術公演から企業イベントの開催に変更すると強調した。
一部の市議員は5日、「TV2」系列の地方放送局「Fyn」の取材に対して、オデオン側の声明について「愚かだ」「オデオンの信用を傷つけた」などと非難した。議員らは市議会の全体会議はこの問題を取り上げるべきだと主張した。
また、Fyn電子版は同日の報道で、別の団体が劇場から来年4月2、3日の施設が利用可能とのメールを受け取ったと暴露した。団体の関係者はメールが10月22日付けのもので、劇場側の「ダブルブッキング」が虚言だとした。
劇場の嘘が明るみに出て、市議員や世論の批判が高まり、ユエル市長は5日、今までの方針を改め、オデオン側の一連の経緯を調査すると表明した。
中国当局は、デンマークでの神韻公演の開催を妨害し続けてきた。同国のベルリングスケ紙(Berlingske)は昨年2月、中国大使館が王立劇場など複数の劇場ホールに対して、神韻芸術団に施設使用を許可しないよう要求したと報道したことがある。
神韻芸術団は2006年に米ニューヨークで結成され、音楽と古典舞踊を通して中国五千年の伝統文化を復興することを使命としている。公演では、踊りで古代の伝説などを表現するほか、中国共産党による伝統気功グループ、法輪功への迫害も伝えている。
オーデンセ市は世界的童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの生まれ故郷であり、毎年中国からの観光客が同市に押し寄せている。同市でビジネスを展開する中国企業も複数、存在している。
(翻訳編集・張哲)
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