米商務省、ハイテク輸出の規制強化 中国「軍民融合」への対抗措置

2020/04/30
更新: 2020/04/30

商務省は4月28日、米国の半導体製造装置などの先端技術が、中国共産党に渡り軍事転用されるのを防ぐために、貿易に関する規制を強化する。中国共産党政権による、民間技術の軍事転用という「軍民融合」政策への対抗措置とみられている。

ロイター通信によると、商務省は、米企業が中国の非軍事組織に米国技術製品を販売する際の、輸出許可の免除を撤廃した。今後は、米国企業が軍用可能な技術製品を中国に販売する場合、たとえ相手が民間企業であっても、商務省の許可が必要になる。

商務省はまた、集積回路、通信機器、レーダー、ハイエンドコンピューターなど、特定の民間製品の輸出許可の免除を廃止することを決めた。これまで、非軍事の組織や用途であれば、特別な審査なく米国の技術を輸出することが可能だった。しかし、今回の規制強化により許可を得る必要がある。

また、この新ルールにより、中国、ロシア、ベネズエラ向けの輸出品については、その製品価値に関わらず、米国企業に申告書の提出を義務づける。

さらに、軍用に利用できる米製品が第三国を経由して中国に渡るのを防ぐために、日本や欧州諸国など他の国も米国の製品を中国に輸出する場合、米国の承認を得なければならない。

ロイター通信によれば、新ルールは昨年から議論されていたが、今年3月25日に政府当局内で合意したという。ルールの詳細は5月第1週に公式発表される予定。

商務省の規制強化は、ロシアとベネズエラの貿易にも制限を加えることになるが、最も大きな影響を受けるのは中国との取引とみられる。

ウィルバー・ロス(Wilbur Ross)商務長官は声明で、「米企業から購入した物品を軍事目的で使用している国がある。考慮することが重要だ」と述べた。

長年、米国の輸出規制に携わってきた元米国商務省次官補(産業安全保障担当)ケビン・ウルフ(Kevin Wolf)氏によると、中国共産党の軍民融合政策に対応した商務省の新ルールは、軍事利用と購入者の定義を拡大し、中国人民解放軍に限定しなくなったと指摘した。

ウルフ氏によれば、例えば、中国の自動車会社が軍用車の修理も行っている場合、その会社も 「軍事の末端利用者(Military End User)」とみなす。

共和党のベン・サッセ(Ben Sasse)上院議員は商務省の新規則への支持を示した。「中国共産党は企業と軍との線引きをなくしてしまった」とSNSに書いた。

米国の業界関係者の間では、新規制が米国の半導体産業や民間航空機器の販売に影響を与えるのではないかとの懸念もある。

(翻訳編集・佐渡道世)