米国サッカー連盟(USSF)はこのほど、選手たちが国歌演奏中に起立する事を義務づける規則を廃止した。
同連盟は2月27日に投票を行い、70%以上の賛成でこの規則を廃止した。2017年に採択されたこの規則は、「米代表チームのすべての者は、米国を代表するいかなる試合においても、国歌の演奏中、敬意を持って起立するものとする」としている。
同規則は、米国女子サッカー代表のメーガン・ラピノー(Megan Rapinoe)選手が警察の残虐行為に抗議するために、2016年の試合で国歌演奏中に跪いた事を受けて採用された。
今回の廃止案は米国サッカー連盟の年次総会で検討され、同連盟のシンディー・パーロー・コーン会長が廃止の根拠について話した。
「これは、私たちのアスリートとスタッフが、人種的不平等と警察の残虐行為に平和的に抗議する権利のためだ。この方針を廃止することで、スタッフとアスリートをサポートしてほしい」と彼女は述べた。
米陸軍の退役軍人で米サッカー選手協会会員のセス・ジャーン氏は、「(私の発言は)間違いなく怒りを買うだろう」とした上で、同規則の廃止を激しく非難した。
「私たちの文化がますます『進歩的』になる中、あらゆる事がすべての人を不快にさせてしまうようになった。国歌で跪く人たちは、それが半分の国民を傷つけることを気にしない。だから、私も気にせずに自分の『言論の自由』を守り、この発言をする」と彼は語り始めた。
ジャーン氏は、「スポーツの政治化」は誰も望んでいないことだと述べた。警察の残虐行為については、「実証するデータがほとんどない物語だ。メディアが視聴率を上げるために私たちの感情を利用している」とした。
彼は、警察の残虐行為が存在し、「残虐行為が明らかになったときはそれに対処することが重要だ」と認めた。その上で、FBIの統計を持ち出し、黒人社会における警察の残虐行為は「まさに統計上の例外である」と述べた。
「FBIの統計によると、年間約4億件の警察との接触が起きている。黒人コミュニティでの死亡原因の内訳は、別の黒人男性による殺害が95%、法執行機関の手によるものが3.7%で、そのうち3.2%が正当な武力行使だ」と彼は話した。
ジャーン氏は、軍隊にいた11年間に何度も負傷し、不随の状態で2年間入院した事もある。それは全て「世界中の有色人種のために戦うためだった」と語った。
同氏は、アスリートたちは自分が大事だと思うことを表現する言論の自由があり、それを支持するとした。その上で、「しかし、私たちの国を代表する試合でそれをしてはいけない。自分のプラットフォームでしてくれ。そしたら私はずっとサポートする」と述べた。
一方、米女子サッカー代表チーム(USWNT)の選手たちは、国歌演奏中に跪かないことにした。
同チームの黒人選手、クリスタル・ダン氏は先週、「私たちは舞台裏で取り組みを行っているので、これからはもう跪く必要はない。私たちは組織的な人種差別と戦っている。いつまでも跪いていようとは思っていなかった」と述べた。
2月21日の「SheBelieves カップ」でのブラジルとの対戦では、選手全員が国歌演奏で立ち上がり、チームは2対0で勝利した。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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