中国桂林市、バッタの大群襲来 当局に「食糧用地」確保の動き

2020/07/05
更新: 2020/07/05

農業が盛んな広西チワン族自治区桂林市全州県でこのほど、バッタの大群が襲来した。最近、中国当局が「食糧生産用地」を確保する方針を打ち出し、今後、食糧危機が起きる可能性が高いとの見方が出ている。

インターネットで投稿された現地の写真を見ると、農作物だけではなく、柵や住宅、生産者の服までもバッタが隙間なく覆っている。「恐ろしい光景だ」と撮影者が驚きの声を上げた。

ネットに「大規模襲来の前兆だ」「恐れたことが現実になった」「今から手を打たないと、制御不能になる」との書き込みが相次いだ。

現時点で、全州県政府が公式に発表した被害面積は数百畝(一畝=667㎡)に及ぶ。今起きている長江流域の洪水とバッタによる被害で、今後、中国国内に食糧危機が起きる可能性が出ている。

四川省成都市農村農林局がこのほど、「食糧生産用地」の確保を進めている。農家に果樹などの栽培を取りやめ、イネなどの植え替えを推奨している。一畝あたりに3000元(約4万5000円)の補助金を支払うという。

米メディア、ラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューで、同市担当者は「食糧生産用地の確保政策は全国で実施している」と述べた。湖北省孝感市の幹部がRFAに対して、同市も食糧生産用地の確保に取り組んでいると認めた。

成都の農家によると、小麦より果樹栽培の収益性の方が数十倍も高い。それでも、政府が小麦栽培への切り替えを要求しているのは、食糧備蓄の不足が考えられる。

アメリカとの対立が高まるなか、中国当局は国内の食糧備蓄が不足しているにも関わらず、アメリカからの食糧の輸入を停止した。重慶市のある関係者はRFAに対して、現地の倉庫に備蓄されている食糧は上の段だけ、下の段は砂で埋められており、粉飾工作を行っていると話した。「中国の食糧危機が深刻な状況にある」という。

6月中旬に、中国湖南省永州市寧遠県にもバッタによる被害があった。バッタで住宅や庭が覆われて、住民は窓を開けることができなかった。

6月初めに、中国の主要米産地、東北の吉林省および黒竜江省にもバッタが観測された。1平方メートルあたりに50匹が密集していた。

 

(大紀元日本ウェブ編集部)