[東京 28日 ロイター] – 安倍晋三首相は28日、新型コロナウイルスの感染拡大による日本経済の打撃を緩和するため、現金給付を含め、財政、金融、税制すべての政策を動員し、「リーマン・ショック時を上回る」規模の緊急経済対策を講じると表明した。今後10日程度で補正予算をとりまとめて国会に提出する考えを示した。
2020年度予算の成立を受けた同日の会見で、首相は感染拡大の状況について「ぎりぎり持ちこたえている」と述べ、緊急事態宣言を出す段階ではないとする一方、「瀬戸際の状況が続いている。気を緩めれば急拡大してもおかしくない」と危機感を強調した。
首相は感染拡大で商取引が縮小し、収益に大きな影響がでている企業への対策として、社員の雇用を確保することが重要だと指摘。4月から雇用調整助成金制度の助成率を中小企業は90%に、大企業は75%に引き上げると表明した。中小企業には「前例のない規模」で支援を提供するとした。民間金融機関でも、事業者に対して無利子の融資制度を整える。
また、対策には即効性が必要だとして、「日々の生活に不安を抱える人のために」現金給付を行うと表明。「ターゲットをある程度置いて、思い切った施策を打つべきだ」と語った。しかし、野党などから要求が出ている消費税率の引き下げについては否定した。
感染が抑制された際は、観光やイベント、運輸、外食などの分野で大規模な需要喚起策を講じ、経済のV字回復を図るとの考えも表明した。
新学期からの学校再開については、来週にも専門家会議で有識者の意見を聴く方針を示した。
年内に衆院解散・総選挙を行うかとの質問に対しては「衆院解散の考えは現時点ではない」と述べた。
首相会見後、西村経済再生相は記者団に対し、政府が検討している緊急経済対策について「財政支出、対策の規模も、リーマン・ショック時以上だと理解している。財務省ともしっかり調整をして検討する」と語った。
国内で新型コロナ感染者が増え続ける中、政府としての「緊急事態宣言」を出すかどうかについては、患者数の状況と海外での感染状況、海外からの輸入症例を見て判断したいとの考えを示した。
*内容を追加しました。
(浜田寛子※)
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