【大紀元日本5月18日】中国国家統計局は先日、4月の消費者物価指数(CPI)が昨年同月比2・8%上昇したと発表し、2008年11月以来、18カ月ぶりに最高を更新した。CPIの上昇幅は定期預金(1年物)金利の2・25%より高く、今年2月から実質上、マイナス金利の状態が続いている。国家統計局は「緩やかな上昇」としているが、政府が掲げる年間目標の3%に迫る勢いで、専門家は「既にインフレに突入している」との厳しい見方を示し、利上げ観測が再び強まった。一方、市民の間では、発表した数字は実態を反映していないとの声も上がっている。
専門家「深刻なインフレが既に発生している」
新たに発表されたCPIについて、国家統計局のスポークスマン盛来運氏は、「天候不順の影響で野菜の価格が高騰し、住宅価格の上昇によってCPI全体の数値が押し上げられた。4月のCPIの上昇は構造上の緩やかな上昇で、物価の全面的な上昇を意味するものではない」との見方を示した。
一方、経済専門家の見方は厳しい。「第二、第三四半期の物価は急速な上昇期に突入するだろう。高騰し続ける市場と穀物、豚肉などの価格変動はCPIをさらに上昇させる」と申銀万国証券の李慧勇首席マクロアナリストは指摘する。興業銀行の魯政委エコノミストも同様の見解を示し、「インフレの兆しは既に現れつつある」と語った。
モルガン・スタンレー・グループアジア太平洋地区のチーフエコノミストを務めた経済学者の謝国忠氏は中国紙「華夏時報」のインタビューで、「実際の物価はここまで高騰しているのに、この2・8%という数字はどうやって計算されたのか。実際、既に深刻なインフレが起きている」と述べた。
同紙は、「にんにくは2年で200倍も値上がりし、住宅は日に日に高くなっている。しかも単独の現象ではない」というインフレの現状に、政府の数字を疑問視する。
インフレ抑制に最も有効な手段は「利上げ」と考える謝氏は、「少なくとも5%の利上げが必要」と話す。しかし、同氏は「銀行の融資の多くは不動産や国有企業、地方政府に貸し付けられている。彼らにとっては低金利の方が有利だから、利上げに反対するだろう」と利上げには悲観的だ。
今、貯金しているのは教育や医療、そして老後に備える一般の市民で、銀行から融資を受けているのは富裕層だ。物価の上昇幅が金利よりも高いため、富裕層が普通の市民から利益を奪っていることになる。謝氏は、「利上げして不動産バブルの崩壊を早めないと、経済への打撃がより深刻になる」と警鐘を鳴らす。
市民「実態を反映していない」
政府が「緩やかな上昇」とした2・8%の物価上昇率について、インターネットでは「実態を反映していない」との声が寄せられている。実際の生活状況から、「インフレは既に深刻な状況に達している」との意見が多数を占める。
「CPI上昇の一因とされる野菜の高騰は天候不順のためとしているが、長期化する工業化と都市化により、野菜価格の上昇は今後しばらく続くだろう」というネットユーザーからの書き込みもあった。同ユーザーは、4月の物価上昇は偶発的なものではないと主張している。
また、不動産価格は立て続けに打ち出された政策により、全国的に下落しているが、一部の地区では上昇を続けている。ネットの掲示板には、「不動産の今後の上昇は、CPIを3%の警戒線を突破させるだろう」との書き込みもあった。
さらに、卸売物価指数(PPI、生産者物価指数)は4月、昨年同月比6・8%と大幅に上昇し、前月比も0・9%高い。原材料や燃料の購入価格の高騰により、企業コストが増加し、一層の値上がりを懸念する声もあった。
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