メディア王が語る、中国投資の教訓

【大紀元日本10月21日】中国で10年近く投資をしてきたメディア王は最近、中国が友人に対してもいささかな手加減しないことを理解したようである。「エコノミスト」最新号において、メディア王R・マードック氏の中国投資の失敗談が掲載された。

米ニューズ・コーポレーションの会長で「メディア王」と呼ばれているオーストラリア出身のルパート・マードック氏は9月にニューヨークで開かれた会議の席上、中国政府に利用者の情報を提供してきたヤフーを痛烈に批判した。ヤフーの情報提供によって反体制の記者が逮捕され、10年の懲役を言い渡されている。

マードック氏は、北京政府が歴史の流れを逆らい、既に開放へ向かいつつある中国国内のマスコミ市場を封鎖するということは、偏執的な行為としか言いようがないと、その毒舌を披露し、自身の中国での投資が既に行き詰ったことをも明かした。

1993年、マードック氏は通称スターTVという香港の衛星テレビ局を買収した際、「世界各地の独裁政権にとって脅威的な存在になる」と放言し、中国中央政府の顰蹙を買ってしまった。中央政府との関係修復を図り、中国国内のメディア市場への早期参入を実現するために、マードック氏はこれまでの先鋭的な立場から一転し、中国政府の厳しい言論統制に妥協してきた。そのため、イギリスBBC放送の番組は、スターTVの北アジア地区放送から外された。さらに傘下の出版社も反共産主義で名高い前香港総督クリス・パッテンの著書出版を取りやめた。

この一連の妥協は功を奏したのようであった。その後スターTVは中国人民解放軍のメディア関係者と鳳凰衛視(フェニックステレビ)を立ち上げ、中国国営の中央テレビ局(CCTV)にも一部の株を与えた。鳳凰衛視の中国の政治問題に深入りしない姿勢は中央政府の歓心を買い、マードック氏は「中国マスメディア界の信頼できる士」と絶賛され、中国政府指導者に頻繁に接見されるようになった。マードック氏の中国での投資は順風満帆のように見えた。

しかし、中国政府上層部と太いパイプを持っているにもかかわらず、最近当局の海外マスメディアに対する規制の中で、マードック氏は何の優遇もされなかった。

マードック氏が率いるニューズ・コーポレーションは中国北西部のケーブルテレビ(CATV)局、青海テレビの放送時間枠を買い取るとともに広告事業に参入する提携が行われたが、2005年8月に提携関係は取り消された。その背景には、2005年7月国家広播電影電視総局(広電総局)が発布した、外資によるテレビ・ラジオへの運営参画を明確に禁止するという通達があった。さらに違法に衛星放送を受信するアンテナを販売しているという疑いを掛けられ、当局からの取調べまで受けた。

マードック氏は北京にへつらう唯一の投資者という訳ではない。マイクロソフトも中国での検索エンジンに「民主」などの言葉を禁止することに同意した。ヤフーも中国の情報交信に関する規制に従う姿勢を見せている。もちろん、これらのことは国際社会の共通認識に反していることは、彼らにも十分わかっている。しかし、これはほかでもなく、中国で投資する際の代償とみられている。

10年の時間と多額の投資を投じて築き上げた中国政府上層部との関係は、マードック氏に期待したほどのメリットを与えなかった。マードック氏のニューズ・コーポレーションの技術を完全に吸収した後は、、中国にとってマードック氏は意味のない存在となったのである。

近い将来、マイクロソフト、ヤフー、ノーテル、グーグルも同じ結末に遭遇するかもしれない。

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