中国の白酒も手抜き 7割は醸造せずアルコールで調合

【大紀元日本11月2日】最近、中国国内の複数メディアが、現在流通している中国の蒸留酒「白酒」の60%~70%は、穀物から作っておらず、食用アルコール調合した酒だと報道し、話題になっている。現代の中国では、伝統的製法で造られた本物の白酒を手に入れることはなかなか難しいようだ。

「アルコールを調合した白酒のことは、皆知っているが、はっきりと話す事は出来ない」。地方紙・黒竜江晨報は10月16日付けで、匿名希望の業界関係者のコメントを載せた。中国現在の白酒市場において、少なくとも60%から70%の白酒は穀物から醸造・蒸留したものではなく、食用アルコールで調合したものだという内容が昨年、業界内で暴露されている。

10月13日の時代週報によると、伝統的な醸造技術による製造は時間とコストがかかるため、酒造メーカーは次々と「新技術」の食用アルコール調合による白酒製造を選択しているという。

「新技術で造った白酒はまろやかな口当たりがなく、香りや味も薄い」。広東省酒業業界協会の常務副秘書長である廖勁松氏は、伝統的な白酒の味成分は複雑で、検出できない物質も含まれていると紹介。しかし、白酒の味と香りを左右するこれらの物質の性質と量ははっきり定められているわけではないため、新技術ではそれを完全に真似ることは出来ないという。「伝統的製法で造られたものの素晴らしさにはとうてい及ばない」と廖氏は話している。

白酒メーカーはアルコール調合による白酒製造を隠す理由について、黒竜江晨報は、これまでに、食用アルコールのかわりに有毒メタノールが調合に使われ、数多くの毒酒事件が報道されたためだと指摘する。

1988年の春節、山西省朔州地区でメタノールを大量に調合した酒により27人が死亡、700人以上が中毒症状を訴えた。

2003年12月、雲南省玉溪でもメタノールを調合した酒により4人が死亡、30人以上が中毒を起こした。

2004年5月、広東省広州市でも類似の事件が発生して14人が死亡、14人が被害を受けた。

2009年3月、湖北省五峰県でもメタノール調合酒により5人死亡、数十人が被害を受けた。

一般的に成人が100%のメタノールを、体重1キロにつき0.25ミリリットル以上摂取すると、重度の中毒を起こし、0.5ミリリットル以上で死に至るといわれている。

ある評論では、中国白酒業界のこの問題は、有毒粉ミルクの酒類版であると指摘している。粉ミルクを飲むのは抵抗力の弱い小さな子供で、メラミン入りの粉ミルクを飲めばすぐに症状が現れるが、白酒を消費しているのは抵抗力のある成人。調合過程で有害な成分が混入されかねない調合白酒は、少量の飲用で症状が現れなくても、その潜在的な害は大きく、軽い中毒症状を起こすと大脳神経、視神経に問題が現れ、深刻な場合は失明、死亡する恐れもあるという。 

 (翻訳編集・坂本)