法輪功迫害 政策変化

習近平主席「信仰自由」「法治を強化」法輪功政策が変わるシグナルか=宗教工作会議

2016/05/03
更新: 2016/05/03

中国習近平国家主席は4月22~23日、15年ぶりに党内最高レベルの宗教工作会議を開き、宗教信仰の自由を強調し、法治による宗教問題の解決を図る意向を示した。これまで弾圧や排除で鎮圧してきた共産党の宗教政策と異なる。これについて専門家は、中国政治情勢の核心である法輪功政策が変わるシグナルと分析している。

北京で開催された同宗教工作会議で、習主席は「宗教工作の法治化を強化すべき」「宗教工作をより良くスムーズに行うには、(信教民衆の)不安を取り除くことが重要」「宗教信仰の自由」などと発言した。李克強首相は、会議の進行役を務めた。

政治局委員は、米ニューヨーク国連本部で行われる「パリ協定」署名式に出席する張高麗氏1人を除いて全員出席した。そのほか、教育部、公安部、最高人民法院院長、最高人民検察院検察長、人民解放軍関係者、各省・市・自治区政府関係者などが出席した。

習主席の情報をひんぱんに発信するSNS微信ユーザ「学習小組」は今回の会議は、宗教問題に関する「最新の綱領文献」だと表現した。

米コロンビア大学政治学博士で中国問題専門家の李天笑氏は、同会議の開催時期と出席者の位から、ターゲットを絞った上実質的な意義があるとの見方を示した。「習政権の反腐敗キャンペーン実施から3年経った今、内容は量的なものから本質的に変わろうとしている。これは法輪功問題を解決しようとする当局の重大なシグナルだ。江沢民を逮捕するために具体的な段取りの一つである可能性が高い」と李氏は述べた。

江沢民元国家主席は2001年12月、同様に党内最高レベルの宗教工作会議を開いている。実質的、法輪功弾圧を強化する目的が強かった。同年1月23日、法輪功に「カルト」の汚名を着せるため、天安門で学習者が焼身自殺したとの嘘を、メディアを通じて何度も喧伝して世間に悪印象を与え、党の弾圧政策を肯定しようとした。

 「4.25陳情」記念日前後の習主席の動き

1999年までに、中国の法輪功学習者は国内に7千万人いたとされる。同年4月25日、天津市公安局が不当に学習者を暴行・逮捕することに陳情するため、1万人の法輪功学習者が中南海に隣接する中央政府の陳情窓口「国家信訪局」に集まり、穏やかに陳情した。これに対して、かねてから法輪功に脅威と嫉妬を感じていた江沢民元主席は、この平和的な陳情活動に激怒し、徹底的に弾圧する命令を下した。

弾圧の口実となった「4.25陳情」から17年経った。その直前に、習主席が最高レベルの宗教工作会議を開催した。他にも、いくつかの政局の動きがみられたとして、李天笑氏は、政府の法輪功政策に変調があるとみている。下記は、李氏が挙げるその他の動き。

4月24日、河北省政法委員会書記の張越氏が免職▲河北省保定市公安局の潘静蘇局長が取り調べを受けていると発表▲合肥市公安局党委員会委員の宋美華氏が取り調べを受けていると発表▲西安市公安局の王海玲副局長が立件調査を受けていると発表

4月25日、北京で全国政法委員会の工作会議を開催▲習主席が各地の政法委員会に対して、「5つの要求(政治、業務、責任、 紀律、仕事や生活態度の面で優れていなければならないこと)」を再び強調

 中国政治情勢のキーとなる法輪功弾圧

中国政治情勢の核心は法輪功弾圧だ。この問題をめぐって、中国政治はゆがんでいった。江沢民は法輪功学習者を弾圧するために、法外権力機関「610弁公室」を設立し、政法委員会書記を政治局常務委員会に入れさせたことで政法委員会の権力を拡大させ、武装警察や軍を発動・指揮できる「第二の中央」を作った。

ほかにも、江沢民は、胡錦濤前国家主席が法輪功への弾圧姿勢が積極的ではないのを不満に思い、中央政治局常務委員会の委員人数を7人から9人に増やしたほか、江派閥の政治局委員である徐才厚らに胡錦濤氏の軍権掌握をけん制させ、また胡氏への暗殺を何度か図った。

 

習主席、江沢民の宗教問題「ご法度」打ち破る

江沢民の法輪功への弾圧は、最初は全国範囲で文化大革命のような批闘大会から、徐々に裏側で密かに行われるようになった。宗教信仰の自由と気功などの話題はやがて、中国国内ではご法度となった。

習近平政権の宗教問題への姿勢は、過去にもみられる。12年5月末、14年12月17日、16年2月10日に一部のメディアはこれまで禁じられた気功や宗教信仰に関して報道した。法輪功の「4.25」陳情の日には、中国共産党中央党校機関紙電子版「学習時報網」で、「指導幹部が内功を修練するための心学―『習近平党校19講』を学習する」を題とした評論記事を掲載した。気功などに関連するキーワードである「修練」「内功」「心学」などを使用するのは非常にまれ。

時事評論員の李林一氏はこの一連の動きから、習近平氏が江沢民の弱みを突いていると見ている。李林一氏は、江が最も恐れていることは習近平氏が法輪功弾圧政策をやめ、江とその関係者の反人類罪と集団大規模虐殺罪を清算すること。

「宗教を『不安定要因』とみなしていた江沢民の宗教政策と違って、習近平主席は法治で宗教問題を解決しようとしている。これまでの江の枠組みを打ち破り、江の政策を変えようとしている」と分析した。

(翻訳編集・張哲)