全長20~40センチほどのフグ(Japanese Pufferfish)は、見た目の華やかさはなく、どちらかというと地味。しかし、実は並外れたアーティストなのです。
海の中の「ナスカの地上絵」と呼ばれる砂のオブジェは直径約180センチの丸い造形。たった一匹のふぐがヒレと尾を道具に、24時間せっせと働いて完成させます。フグは物差しも計算機も使わず、自分の体より数倍大きなこの円盤の作品を作ります。
何故ここまで精を出して巨大なオブジェを作るのでしょうか?実は、メスを惹きつけるためです。しかも、この壮大なプロジェクトは急いで作らなければなりません。なぜなら、潮の流れによって壊されてしまうからです。
一方、メスは美しい作品を創作してくれたオスに惹かれて近寄ってきます。そして、オスとの愛の結晶の「卵」をオブジェの真ん中の凹んだ所に寝かします。周りの凹凸は卵を外敵から守ったり、潮に流されないように保護したりする役割を果たします。これはとても実用的な芸術品なのです。
ちなみに、フグが砂の高さや距離などをどうやって正確に測っているのかは、未だに分かっていません。英BBCは、これほど複雑かつ精巧な作品を作り上げる動物は他にないと報じています。
(翻訳編集・豊山)
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