ミリオネア―から隠遁暮らしへ

20年間ひとりぼっちの島に生活 もと大金持ちの胸中

都会を離れて、自然豊かな島暮らしへ―。多くの人が憧れるライフスタイルだが、オーストラリアの島に暮らすデービッド・グラシーンさん(David Glasheen)の場合は、少し極端なケースかもしれない。

裕福なアイルランド人の家庭に生まれ、オーストラリアのシドニー北部で育ったグラシーンさん(73)。彼はパプア・ニューギニアで産金会社を経営し、一時は2800万ドル(約30億円)を稼ぐこともあった。しかし、1987年に起きた金融危機により経営が破たん。為替で大損を被り、財産を失った後、家族も彼を残して去っていった。

後に知り合ったガールフレンドの希望もあって、彼は人里離れた場所に住むことを決意。オーストラリア北東にあるリストレーション島(Restoration Island)で自給自足の生活を送ることになった。その後ガールフレンドは去っていったため、島に住むのは彼と犬のポリーだけになった。一人になってから、かれこれ20年になるという。

彼が住む小屋には電気も水道もあり、必要な食べ物は自分で育てている。年に数回、ケアンズへ行って米やオリーブ・オイルを調達しているため、生活に困ることはない。物質的に何の問題もない今、彼が心から欲しているのは、人との知的な会話だという。

「私と一緒に住んでくれる女性を見つけたいと思っています」とAP通信社のインタビューに答えたグラシーンさん。彼によれば、ここでの生活の特典は、のんびりとできて時間に縛られないことと、テロの心配もないこと。そして、心を奪われるほどの美しい自然や野生動物がある。島暮らしは非常に原始的だが、この生活スタイルに溶け込んでくれる女性を募集中だ。

稀に、島へやってくる観光客と話す機会があるが、その人数も年々減ってきているという。「ここは地上の楽園だよ」と話すグラシーンさんに、よきパートナーがみつかることを願っている。

(翻訳編集・郭丹丹)