[ルクセンブルク/ブリュッセル 23日 ロイター] – 欧州連合(EU)加盟28カ国の労働相による23日の会合で、域内の国から一時的に他の加盟国に派遣される労働者を巡る規制改革について大半の加盟国が合意した。
現在の規制の下では、域内の貧しい国の国民がより裕福な国へ行った場合、自国よりも高く現地よりも低い給与水準で働くことができる。東欧の旧共産圏諸国などは、経済力で西欧諸国に追いつくには現行規制の維持が必要と主張。一方、フランスなどは派遣労働者は自国の給与水準を圧迫し、労働市場を阻害していると訴えてきた。
大半の加盟国がこの日合意した妥協策は、派遣労働者にEUの労働規制を適用する期限を最長18カ月に限定するもので、その期間が過ぎた後は派遣先の国の労働規制が適用される。また、改革案で最終合意してから発効するまで4年間の移行期間を設ける内容となっている。
フランスのマクロン大統領は同規制の改革を優先事項としており、ドイツ、ベルギー、ルクセンブルク、オランダなども改革を支持している。
この日の会合で、ハンガリー、リトアニア、ラトビア、ポーランドは改革案を支持できないと表明。アイルランド、英国、クロアチアは新たな規制が輸送業に悪影響を与える可能性があるとして態度を留保した。
マクロン氏はツイッターで「欧州は前進している。派遣労働者に関する野心的合意を歓迎する。保護強化は詐欺行為の防止につながる」とした。
オランダの労働相も、全ての労働者は不公平な競争から守られるべきだとして合意を称賛した。
会合ではスペイン、アイルランド、ポルトガルなどが国際道路輸送を新たな規制の適用外にすべきと主張。これを受けて欧州委員会は輸送部門の一部を適用外にすると表明した。
マリアンヌ・ティッセン欧州委員(雇用・社会問題・技能・労働力の移動担当)は規制改革について「公平な労働市場を目指すもの」と強調。「移動の自由は全面的に支持するが、公平に行われる必要がある。域内市場はジャングルではなく、規則に基づく必要がある」とコメントした。
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