[ワシントン 25日 ロイター] – トランプ米大統領は25日、医療用鎮痛剤「オピオイド」の乱用問題で来週、非常事態を宣言すると明らかにした。これにより、州政府はオピオイド問題の解決にあたり、連邦政府の財源にアクセスできるようになる。
米国では、オピオイド系鎮痛剤の乱用による死者が急増しており、2015年には約3万3000人が命を落としている。
トランプ大統領は、「オピオイドの問題は重大な緊急事態だ。来週、非常事態を宣言する」とフォックス・ビジネス・ネットワークに語った。
非常事態宣言に先立ち、大統領はオピオイド問題への対応策を26日に公表する。
米国では、処方鎮痛薬であるオピオイドのほか、ヘロインや、モルヒネの50─100倍強力だとされるフェンタニルを中心とする薬物によって薬物過剰摂取の問題が広がっている。
トランプ大統領が非常事態を宣言することで、連邦予算を使った支援策の策定や対策予算の計上がしやすくなり、患者側もさまざまな治療へのアクセスが容易になる。
一方、米食品医薬局(FDA)のゴットリーブ長官は25日、オピオイド中毒の患者に、より効果の弱い鎮痛剤のメサドンやブプレノルフィンを代替品として使用するよう推奨する方針を表明した。これは大きな政策転換であり、薬物摂取の停止以外に有効な治療はないと考える専門家からの反発を招く可能性もある。
ゴットリーブ長官は、米下院委員会に対し、過剰摂取に悩むオピオイド中毒患者に対し、長期間、または必要があれば生涯に渡り、より作用の弱い代替薬を与えて治療をする新方針を説明した。
同長官が引用したマサチューセッツ州のデータによると、中毒患者がメサドンやブプレノルフィンを使った治療を受けた場合、過剰摂取による死亡リスクが50%減少したという。
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