コロラド州立大学の授業の一コマ(Glenn Asakawa/University of Colorado/CC)

教室はネットカフェじゃない PCスマホを禁止する教員が増加=米

米国では、クラスルームにパソコンを持ち込んだり、携帯電話を操作することを禁止する大学教授が増えている。学生たちの集中力や注意力を維持させるためだという。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が10月1日報じた。

「過去8年間、ハーバード大学教育大学院の教育調査を通じて分かったことは、学校の教室がまるで、ネットカフェのように変わってしまったことだ。」マサチューセッツ州にある同学のマーティン・ウェスト教授はこう述べた。

ミシガン州立大学で公共政策、教育、経済学の教授であるスーザン・ダイナルスキー氏は2017年、『大学でしっかり学びたければ、パソコンから手を離し、ペンを持とう』を出版。学生たちが電子機器を肌身離さず持ち歩いていることに警鐘を鳴らした。

ダイナルスキー氏は著書のなかで、電子機器とペンとで、論文作成能力を比較・検証した。その結果、大学生がコンピューターやタブレットを授業で使用すると、学習時間は減り、成績が低下したことがわかった。

また、ニュージャージー州のラトガース大学アーノルド・グラース教授らは学術誌『教育心理学』2018年7月号に論文を発表した。

グラース教授は、学年の異なる心理学専攻学生118人を対象に実験を行った。半数は90分の授業中一切の電子機器の使用を禁止し、残りの半数は自由に操作することを許可した。すべての学生たちは小テストを毎日、中間テストを毎週月曜日、最終試験を学期末に受けた。

実験結果によると、小テストの結果に差は見られなかったが、月曜日のテストと期末テストには、大きな差が認められたという。電子機器を操作した学生たちは、授業内容をしっかり理解していないことが分かった。電子機器を操作しなかった学生たちは、操作した学生よりも17%理解力が高かったという。

グラース教授は実験結果から、電子機器が、学生たちの注意力を散漫にさせていると結論付けた。学生たちが授業に集中しなければならないとき、ネット販売のサイトを見たり、メッセージをやりとりしたりすれば、授業内容を深く思考できなくなり、学習内容は長期的な記憶に入らなくなっていくと指摘する。

教授はVOAに対して「学生に、数分前に教授が何を言ったかを覚えているが、一週間前に話したことは忘れていた。学生は記憶する機会を失っている」と話した。

(翻訳編集・佐渡道世)

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