禅の智慧

人間関係に悩むなら…「初心に返る」で解決

近所づきあい、職場の人たち、家族の問題…昔から、悩みごとのほとんどを占めてきたのが人間関係です。米国人のレオ・ババウタさん(Leo Babauta)が自身の著名なブログ「の習慣」(Zen Habits)で、その解決方法を紹介しています。

初心に返る

ババウタさんが紹介しているのは、「初心に返る」という禅の言葉。このシンプルな思考法を練習すれば、「多くのトラブルは解決するし、多くの喜びがみつかる」といいます。

仕事やスポーツの分野において、日本では昔から使われているこの言葉。ババウタ氏によると、初心に返るというのは、「物事に対する自分の期待や先入観を捨て、初心者のように心をオープンにし、新鮮な目でそれらを見ること」

何かを学び始めたばかりの人にとっては、すべてが新鮮です。不慣れなため、失敗することがあるかもしれませんが、物事すべてを驚きと興味を持って見ることができます。それが「初心に返る」ことなのです。

この思考法で、次のような変化が現れるとババウタ氏は述べています。

1.よりよい経験ができる

「これは、こうなるべきだ」「自分はすでに知っている」という偏見や先入観、あるいは妄想に振り回されなくなります。比べられる偏見や妄想がないため、経験したことにがっかりしたり、不満がたまったりすることがなくなります。

2.よりよい人間関係が築ける

誰かと話をしている時、イライラするのはなぜでしょうか。それは、相手が自分の期待や理想に応えていないからです。初心に返り、新鮮な気持ちで相手を見ると、分かってくることがあります。それは、彼らはただ幸せになりたいだけであり、多くの場合、彼らは善意でやっているのだということです(それがあなたの希望しているものとは違うかもしれないが)そして、彼らもあなたと同様に悩んでいるのです。この思考を持てば、相手との関係がぐっとよくなるでしょう。

3.仕事が早くなる

複雑でプレッシャーの多い仕事は、つい後回しにしたくなります。仕事の大変さや失敗した時の事を考えるより、まずは初心に返ってみましょう。細かな部分に気づくようになり、その仕事がどうやって展開していくのか、興味を持って進めることができます。

4.不安が少なくなる

大きな会議やイベントが目前に迫っていて、うまくいくかどうかと不安を感じていませんか?何が起こるかを心配するより、心をオープンにして興味を持って臨みましょう。物事の結果を想像して不安を感じるのは、余計な先入観のせい。「知らない」ということを喜んで受け入れ、その瞬間に自分がやっていること、自分が出会う人々に感謝の気持ちを持つことで不安は消えていきます。

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人付き合いが苦手という人は、試してみませんか?「こうあるべき」という固定観念を捨てて、ありのままの相手を受け入れるのです。ババウタ氏は、「きっと相手の善良な部分や、抱えている困難にも気づくでしょう。そして、ありのままの彼らに、感謝してください」とアドバイスしています。

(文・郭丹丹)