深刻な容態で発見されたピーナッツは、当時まだ1歳でした。ドラッグの取引が行われている民家の前に、2日間もぐったりとした状態で放置されていたと報道されています。
フィラデルフィアの動物管理局の職員達がピーナッツの存在に気づきました。
容態は生死に関わるほど悪く、呼びかけなどにも一切の反応を示さなかったそうです。
地元の住民によると、近所の子供達による虐待に苦しめられていたピーナッツ。
そして、子供達はピーナッツに数種類のドラッグを注射器で投与したというのです。
ピーナッツは、近所のドラッグ取引所に飼われていたと考えられています。
発見した職員が見る限り、ピーナッツは酷く薬物の影響を受けており、緊急で専門的な処置が必要だったとのことです。
なので、職員達はピーナッツをデラウェア州にある動物保護施設へ搬送。
そこで、ピーナッツの体はドラッグに侵されていることが明確になり、点滴静脈内注射を使用して、血中のドラッグを浄化する処置が施されたのです。
「施設に到着した時、彼女は歩いたり水を飲むこともできなかったんだ」と施設のマーケティングマネージャーのケビン・レンツは振り返っています。
さらに「専属の獣医も、これほど酷い犬に対する薬物の乱用は経験したことが無かったんだ。胸が張り裂けそうな思いだったよ」と続けました。
ピーナッツの身を案じたスタッフは、その夜つきっきりで看病しました。
そして、ピーナッツの強い生命力も手助けして、回復の見込みのなかった状況を打破することに成功したのです。
「なんとか自力で頭を上げるようになり、こちらの呼びかけにも反応を見せるようになったんだ。自分の身に起きていたことなんて全く知らないようだったよ」とレンツ氏は述べています。
薬物の影響や恐怖に打ち勝ち、ピーナッツは更なる回復を見せ始めました。
翌朝、餌や水を口にし、歩こうとする彼女を見てスタッフは安堵の表情を浮かべたそうです。
更に2日経ち、ピーナッツは本来の性格をスタッフに見せ始まました。
「ピーナッツはここの獣医やテクニシャンのハートを鷲掴みにしたんだ。ドラッグが彼女の体を抜け始めた途端、彼女はそのキャラクター全開で暴れまわったのさ」とレンツ氏。
スタッフはこの犬の新たなスタートを祝ってスージーと改名。
この物語が地元のニュースで取り上げられると、デラウェアのある心優しい家族が里親に志願しました。
この家族の一員のアイダ・アリシアは、テレビでスージーを見て、施設を訪れることを決意したそうです。
「子供がこんな残酷なことをすると耳にして正気を保てなかったわ」と語るのはアイダの娘のローザ・アリシア。
「初めて彼女を見た時、彼女はシェルターのケージの中で横になっていたの。そして私たちの方を見上げたわ。とてもおとなしくて、吠えたりしなかった。周りの犬の鳴き声にも動揺していなかったわ」
ローザは何か運命のようなものを感じたそうです。
「今自宅で飼っている犬の名前もスージーで、同じ色をしているの。運命でしょ」
と言うローザ。
今回の恐怖なんて完全に忘れ去って、スージーは愛情をいっぱい浴びて成長していくことでしょう。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。