ロシア、中国、イランのハッカーが米大統領選両陣営にサイバー攻撃=マイクロソフト

[ワシントン 10日 ロイター] – 米マイクロソフト<MSFT.O>は10日、ロシア、中国、イランとつながりのあるハッカーが、11月の米大統領選の候補であるトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領の両陣営関係者らを標的にしていると指摘した。

ロイターは9日、マイクロソフトがバイデン陣営の助言会社SKDKニッカーボッカーに対し、ロシアのハッカー集団の標的になっていたと警告したと報じた。

マイクロソフトの顧客セキュリティー担当バイスプレジデント、トム・バート氏は10日、ロシアの軍事情報機関とつながりのある「ファンシーベア」と呼ばれるハッカー集団が過去1年にわたり、共和、民主両党に助言する政治コンサルタントや支持団体、シンクタンクなどのアカウントへの侵入を試みてきたと指摘した。ファンシーベアは2016年米大統領選で民主党のクリントン陣営の電子メールを盗んだとされている。

バート氏は具体的な政治コンサルタントの名前には言及しておらず、マイクロソフトはSKDKが標的に含まれているかについてコメントを控えた。

バート氏は、中国のハッカーも「大統領候補や陣営に近い」人物を標的にしているとし、バイデン氏の関係者が個人の電子メールを通じて標的にされた例や、「少なくとも1人の著名な元トランプ政権関係者」が狙われた例を挙げた。

マイクロソフトは昨年10月、イラン政府に関連するとみられる組織が米大統領選の選挙運動にサイバー攻撃を仕掛けていると指摘し、ロイターはその標的がトランプ陣営であると報じていた。

バート氏は、イランのハッカーがその後、トランプ政権当局者や同氏の選挙陣営関係者のアカウントに侵入を試みたと明らかにした。

中国によるバイデン氏関係者への攻撃とイランによるトランプ陣営への攻撃は失敗に終わったとしているが、ロシアのハッキングや、著名な元トランプ政権関係者を狙った攻撃については詳しく言及していない。

バート氏は、投票日が近付くにつれて外国勢力によるハッキングが増加していると警鐘を鳴らした。

バイデン陣営は声明で「陣営と関係のある個人が所有する、陣営のものではないメールアカウント」にハッキングの試みがあったことを承知しているとした上で、「そうした攻撃の標的になることは当初から想定済みで、備えはできている」と述べた。

トランプ陣営も、侵入の試みを把握しているとし、陣営やスタッフを狙った悪意ある活動は意外ではないと述べた。

ワシントンにあるロシア大使館の報道官は、米国は何年にもわたり「事実に基づく証拠」を示さずに「いわゆる『介入』」を主張していると反論した。

ワシントンの中国大使館とニューヨークのイラン国連大使は現時点で取材に応じていない。

サイバーセキュリティー会社ファイヤーアイのアナリストは、ファンシーベアについて、過去にサイバー攻撃で入手したデータをリークしてきた経緯があるため、情報操作などのリスクが高いとして特に懸念を示した。

*内容を追加しました。

関連記事
最近、バルト海にある二本の重要な海底ケーブルが損壊し、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、リトアニアの四か国が […]
米国議会は中国の最恵国待遇の取り消しを提案。AI技術競争において優位を目指す「AIマンハッタン計画」も始動。中国経済への影響が注目される
トランプ次期大統領は緊急事態宣言を準備し、不法移民の強制送還計画を発表した。計画では特に中国籍の兵役年齢の男性を優先している
米司法省は最近、IR事業をめぐり日本の政府関係者に賄賂を渡すよう指示して、中国企業のCEOを海外腐敗行為防止法違反の容疑で起訴した。
豪州初の女性宇宙飛行士ベネル=ペッグ氏は、シドニーの会議で「宇宙には地球上の砂浜の砂粒に例えるほどの恒星があり、生命の存在は確実だ」と語り、太陽系内外での地球外生命探査の可能性に期待を寄せた。「宇宙での発見は生命の理解を深める貴重な手がかりになる」と強調。