80歳校長先生の家庭教育(3)

親の一言が子供を礼儀正しくさせる

同じシリーズ

前校長先生が言うには、多くの人は現在の社会で、コミュニケーションが上手な人はすでに半分成功しており、そして、礼儀と情熱こそコミュニケーションの始まりであり、人の心を開くカギなのです。
では、子供に礼儀正しさを教えることは難しいでしょうか?実は非常に簡単なのです。親は毎朝起きた子供に「この一言」を言うだけで、半年もしないうちに効果が現れるでしょう。

必ず大声で言う「この一言」

前校長先生の演説は保護者たちに何のプレッシャーも与えませんでした。保護者自身が礼儀正しさの重要性を理解していなければ、うまく子供に教えることはできないと分かっていた前校長先生は、非常に簡単で効果のある方法を教えてくれたのです。そして、半年もしないうちにきっと効果が現れると語りました。

それは誰にでもいえる「おはよう」の一言です。
まさかこれほど単純な言葉だとは誰も思わず、そして、なぜこの一言がこれほど重要なのか、みんな疑問に思いました。
保護者たちの疑問に満ちた顔を見て、前校長先生は微笑みながら説明してくれました。
「この一言を甘く見てはいけません。私は毎日使っています。信じられないなら、皆さんも明日の朝から試しに使ってみてください。ここにいるほとんどの方は母親で、毎朝早く起きて、朝ご飯を作ったり、家事もしなければならないから、非常に忙しいでしょう。ですので、皆さん、ある些細なことを見逃してしまうのです。それは、挨拶です。明日の朝起きたら、まずご主人に向けて大声で言ってみてください。きっとご主人も子供も、『今日は、どうした?』『何かあったのか?』『なぜ、お母さんはこれほど正式に挨拶をするのか』と驚くでしょう。そして、きっと、恥ずかしそうにごにょごにょとした声で挨拶をするでしょう。大丈夫です。そのうち慣れます。自分に挨拶してくる人を責めたり、嫌がったりする人はいません。ただ最初は恥ずかしいだけなのです」
「毎朝継続していけば、家庭内の雰囲気はきっと変わります。反感を持つ人はいません。これほど正式に礼儀正しく挨拶されて、却って自分が重視されていると喜ばれるはずです。母親を無視することは子供にはできないので、そのうち子供も礼儀正しく挨拶してくれます。そうすれば、家庭内で正しい礼儀が養われ、『礼儀正しくしなさい』と怒鳴る必要もなくなります」
前校長先生は更に詳しく説明してくれました。多くの場合、環境がその人に大きく影響しているため、礼儀正しい環境にいれば、その人は周りの人につられて自然と正しい礼儀を身に着けるでしょう。子供は大人をまねするものです。そして、大人の言動は環境を作り、子供に影響しています。
このことは簡単そうに見えますが、実は非常に重要です。初めのころは恥ずかしく思うでしょう。しかし、時間が経てば、良好な習慣を身に着けるのです。両親による影響力は我々の想像をはるかに超えています。明るい挨拶で、子供の心が温まり、その1日中ずっと明るくなれるでしょう。

和尚からの教え

続いて、前校長先生はある和尚からの教えを紹介してくれました。
ある日、京都の寺院を尋ねた時、そこである和尚に会い、2人はどのように他人に規則を守ってもらうかについて話し合ったそうです。
和尚によると、厳しい説教だけでは何も変えられず、効果も全くありません。ただ毎日、玄関の靴をきれいに並べるだけで、半年続けていけば、子供たちも同じように靴をきれいに並べるでしょう。それ以上言うべきことは何もないのです。
具体的なやり方として、毎日、子供が乱暴に脱いだ靴を何も言わずに自らきれいに並べるだけです。子供が出かける度にきれいに並べられた靴を見てきっと感動します。そして、帰ってきた時もきれいに並べられてある靴を見て、時間が経つと、自然に自分の靴をきれいに並べるでしょう。毎日見ているので、ごちゃごちゃに置いてある靴を見て、子供自身も見慣れなくなり、自ら行動するようになるので、何も言わなくても良いのです。
この方法を聞いた前校長先生は家に帰って実行してみたところ、本当に効果が現れたので、私たちに教えたそうです。これは先ほどの大声の挨拶と同じような方法です。

前校長先生は上記の2つの方法を教えてくれたと同時に、私たち保護者に親の言動の重要さを教えてくれました。
礼儀正しく挨拶することは人と人とのコミュニケーションの第一歩であるため、非常に重要です。礼儀自身が目的ではなく、上手に他人とコミュニケーションすることが目的なのです。前校長先生によると、子供をコミュニケーションの上手な人間に育てたいならば、毎日の挨拶を重視しなければなりません。日々の日常生活の中で、他人を気にかけ、悩みを聞いてあげて、相手の話を真剣に聞くことで、心優しい大人になれるのです。では、具体的にどうすればいいでしょうか?それはまた次回お話ししましょう。

文/劉如