【物語】母親に尽くした男

宋という時代の頃のお話です。黄庭堅(こう・ていけん)という非常に母親思いの男がいました。彼は位の高い役人でしたが、母親の事になると、大事小事にかかわらず全て自分が面倒をみて、決して使用人に用事を申し付けたりしませんでした。

当時は現代のような水洗トイレはなく、人々は室内にある木製の便器で用を足し、毎日中身を外に捨ててきれいに洗っていました。黄庭堅はどんなに忙しくても毎日母親の家を訪ね、話をした後に彼女の便器を洗いました。彼は心から母親を敬い、大事にしていたのです。

人が小さい時、自らの手でオムツを替えて面倒を見てくれるのは両親です。従って、両親が年老いたら、子供たちが心を込めて世話をするのは当然であると考えられていました。また、日ごろよく両親の家へ挨拶に行き、彼らと共に過ごすことも、大事な親孝行のひとつだったのです。

(翻訳編集・郭丹丹)