2021年1月に発表された中国医薬大学科研団体の研究によると「タンニンには、新型コロナウイルスの活性を抑制する効果がある」とのこと。タンニンは、ポリフェノールの一種で、私たちが日常的に口にしている食品や飲料に多く含まれています。
ウイルスの活性を抑制するタンニン どんな食物に多く含まれるか
タンニンは、ポリフェノール化合物で、さまざまな食物に苦味や渋味をそえるとともに、抗酸化作用と炎症を抑える功能もあることから、がん細胞の増殖や転移にも抑制効果があると考えられています。
私たちが日常的に口にしているもの、例えば、緑茶には豊富なタンニンが含まれています。そのほか、タンニンの多い日常食というと、柿、バナナ、リンゴ、トマト、グアバ、柑橘類、ブドウ、ネクタリン、サンザシ、石榴(ざくろ)など。さらには、茶葉やコーヒー、赤ワインにも多く含まれています。十分に熟していない果物にはタンニンが多いとされますが、まだ青いバナナのように、食べても酸味が強く、渋みもきついのが困りものです。
英オックスフォード大学の神経学博士で、台北市愛家自然診所院長の陳惟華医師は、次のように言います。「タンニンは、日常の食事のなかで長期にわたって摂取してこそ、健康に有益なのです。例えば、高齢者の介護をしている家庭などでは、日常的に緑茶でうがいをしていますが、それによりインフルエンザの発症が抑えられていますね。台湾では、大きなカップで売っている果汁飲料が好まれていますが、本当は緑茶のほうがいいでしょう。もちろん、無糖がベストです」。
タンニンを摂取するときの注意点 消化不良を避けるため
しかし、タンニンを食物から摂る場合、次の2点に注意してください。
一つは、空腹時を避けて食べたり、飲んだりすること。空腹時にタンニンを多く口にすると、胃酸と結合して消化不良を起こしやすくなり、胃痛の原因にもなります。
台湾の扶原中醫(漢方)雲林總院の郭大維院長は、「徹夜や夜更かしをして、胃に何もない状態のときに、空腹のあまりタンニンを多く含むフルーツを食べると、腎臓結石や胆嚢結石あるいは胆嚢炎などの原因にもなります」と指摘します。
二つ目に、タンパク質の多い食物とは分けて食べたほうが良いことです。タンニンは、タンパク質と容易に結合しますので、凝固して塊となり、消化不良や胃腸の不具合を起こしやすくなります。タンニンの多い食物を食べた時には、例えば、鶏卵、海鮮、肉類、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)、豆腐、豆乳などのタンパク質の食品は、時間をずらして食べるようにするといいでしょう。
コロナ禍の期間中は「野菜や果物を多く」
野菜や果物のなかには、タンニンのほかにも、各種ビタミンやポリフェノールなど健康効果の高い物質が含まれています。陳惟華医師はタンパク質の摂取を薦めていますが、特に植物性タンパク(例えば、エンドウ豆)は体内のACE2を増加する働きがあるといいます。陳医師によると、病原ウイルスは、人体の細胞の表面にあるACE2に結合して侵入し、そこに「自己の複製」をつくり増殖していきます。そこで、血中の遊離型ACE2が多ければ、病原ウイルスをそちらに貼りつけてしまうことで、人体を保護する作用が生じます。このエンドウ豆を使った新型コロナウイルスの予防は、まだ実証研究の域を出ていませんが、エンドウ豆を常食にすることは提案したい、としています。
また野菜や果物は肺機能にも保護作用があることが《歐洲呼吸雜誌》(European Respiratory Journal)2017年刊に記載されています。それによると、トマト、リンゴ、バナナの3種の果物には、喫煙で損傷した肺機能の修復に明らかな効果があるか、肺機能が衰える速度をゆるやかにする効果がみられるといいます。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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