夜中に起きる筋肉の「けいれん」は困りもの。特に就寝中、ふくらはぎの筋肉がつる「こむら返り」を経験した人は少なくないと思います。重症の場合は、肉離れなどの筋肉の損傷にもつながります。その対処法と、普段からできる予防法について、ご紹介します。
まず冷やしてストレッチ、痛みが和らいだら温める
台北病院リハビリ科主任の呉政哲氏によると「けいれんは数秒から数分続き、強い痛みがあります。ひどい場合には肉離れを起こすこともあり、歩ける状態に回復するまでに4~6週間かかります」とのこと。けいれんして痛みが止まらない場合は、できるだけ早く受診することが必要です。
筋肉がけいれんすると、筋肉が突然収縮することで激しい痛みを覚えます。自分でマッサージして一時的に痛みを和らげたとしても、翌日以降に痛みが再発してひどくなり、歩くこともできなくなる場合もあります。
そこで実際に発症した場合、すぐにできる対処法は「まず冷やす」こと。筋肉のけいれんは急性期の症状ですので、できるだけ早く、冷湿布や氷のうで患部を冷やしてください。
痛みが少し和らいだら、ゆっくりストレッチして固くなった筋肉を弛緩させます。ストレッチの方法は、ふくらはぎを例にして言うと、手指を足裏にかけて体の方向に引き、ふくらはぎの筋肉をゆっくり伸ばすようにします。自分でできないときや、両足が同時につった場合には、家族やルームメイトに助けてもらいます。
冷湿布とストレッチで急性の痛みが和らいでも、まだ患部が完全治癒したわけではありませんので、安静を基本としてください。痛みが治まってきたところで、患部を温める温湿布に切り替えますが、その時期の判断は、症状の度合いによって異なります。「まだ痛みが強い時に温湿布をすると、血管が拡張して、かえって症状を悪化させてしまいます(呉政哲氏)」ので、ご注意を。
筋肉けいれんの原因とその予防
けいれんを誘発する原因は非常に多いのですが、一例として、糖尿病、骨棘(こっきょく)の影響、神経や筋肉の疾患、甲状腺の病気などが挙げられます。また、服用している薬の影響、例えば利尿剤の作用で電解質が尿中に出すぎてしまうため、あるいはコレステロール値を下げるスタチン類の薬によっても、夜間の筋肉けいれんが起きることがあります。
そのほか、日常生活のなかでの要因としては、気温の低下による血行不良、水分の不足、血中の電解質の不均衡などが挙げられます。電解質とは、食物から摂取する各種ミネラルのなかの、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウムなどです。
また、筋肉が過度に疲労したときや、運動する前のウォーミングアップが不十分であった場合も、けいれんを起こしやすくなっています。運動後のケアを十分にしてください。
けいれん予防には、こんな食生活が効果的
生活習慣や食事の改善に努めると、けいれんを予防できます。
水分を十分にとり、筋肉を伸ばして寝るようにしましょう。気温が下がった時の保温には特に気をつけてください。特に夜寝ている時は、長い寝間着や靴下を用いて足や脛を冷やさないようにしてください。運動前には、ウォーミングアップで体を温め、運動中や運動後にはスポーツドリンクを飲み、発汗で失った電解質を補給します。
ホウレンソウ、ニラなど濃緑色の野菜は、カルシウム、カリウム、リン、マグネシウム、ナトリウムなど、筋肉のけいれんを予防する電解質が豊富なので、積極的に食事のなかに取り入れましょう。
スポーツドリンクについて、食品科学博士で栄養士の陳小薇さんは「スポーツドリンクはカリウムを素早く補給できますが、適量を摂取すればよいので、水で薄めて飲むことをお勧めします」とのこと。
そのほか、バナナ、ジャガイモ、カボチャなども強い味方。カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなどの栄養素を含みます。牛乳や煮干しにはカルシウムが多く含まれ、また傷ついた筋肉を修復するタンパク質も豊富です。ナッツや豆類に含まれるマグネシウムは、神経をリラックスさせ、筋肉を弛緩させてくれます。
それでも頻繁に筋肉けいれんが起きる場合は、医師の診察を受けることをお勧めします。呉政哲氏によると、血液を採取して電解質の不均衡を調べることができ、全身性けいれんが頻繁に発生する場合は、他の病気の有無を詳しく調べる必要があるそうです。
(文・蘇冠米 翻訳編集・鳥飼聡)
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