孔子が霊験を現わし、信者を守る

中国には、仏教道教の神々を祀った寺院が数多くあり、他の神々を祀った寺院もたくさんあります。その中には、孔子を祀った「孔子廟」があります。貴州省南部に謇(ジアン)という名の将校がいて、彼の家は孔子廟の隣にありました。何年もの間、謇将校は、食事をするたびに、必ず食事を少し分けて孔子にお供えしていました。

咸通2年(861年)、国に外敵が侵入してきました。按察使(巡回視察を担当する官)は軍隊を視察し、外敵を追い払うために軍隊を指揮する将軍を探そうと思っていましたが、適任者が見つかりませんでした。

ある日の夜、謇将校は突然、王様のような恰好をしている男の夢を見ました。「私は孔仲尼(孔子)だ、いつも私に敬意を払い、奉納しているお前の行為に感動したので、お前を助けよう。名前を謇宗儒に変えなさい。そうすれば、金持ちで有名になれるだろう」と夢の中の男が言いました。

夢から覚めた謇将校は、とても嬉しく思い、彼は自分の名前を謇宗儒と改め、自ら司令官に軍隊を率いて侵略者を殲滅するように頼みました。将軍を探すのに苦労していた司令官は、謇宗儒が志願したことを聞いて、侵略者を鎮圧するための軍の指揮を任せることにしました。 そして一回の戦いで、謇宗儒は侵略者を倒し、残りの敵は全員逃げました。司令官が謇宗儒の手柄を主張すると、朝廷は謇宗儒を廊州(今の湖南省常徳市一帯)の総督に任命しました。

世界中に様々な仏教寺院や道教寺院、教会があります。そこでは、神様は自分を信じて供養する人々を守ってくれる存在です。また、神を信じることで、人は自制心を持ち、自分の意思で悪いことをしないようになり、人間のモラルは一定のレベルに保たれます。私たちが祀っている孔子は、人間の世界で人の姿をしていますが、実は人間に文化を伝えるために生まれ変わった神なのです。同時に、自分が始めた文化を守り、自分を信じてくれる人々を守っています。

(翻訳  柳成蔭)