【医学古今】

イボに効くお灸療法

 お年寄りだけでなく、若い人にも発生するイボ(疣)。痛みや痒みなどの自覚症状がなくても、美容的観点から取り除きたい人は多いでしょう。

 イボの形はさまざまで、全身の皮膚に発生することもあります。多くの場合は、ヒトパピローマウイルスの感染によって起こります。現代の漢方医学で一般的に行われている治療は、液体窒素を使った冷凍凝固や、ヨクイニンという漢方薬を内服する方法です。

 一方、古代の医学書には、お灸を使ったイボの治療法が記載されています。私はこの方法を実践してみましたが、結構良い効果がありました。

 お灸のツボの取り方は、3種類あります。一つは、直接イボの上に施灸します。もう一つは、最初に発生したイボ、つまり「母疣(ぼゆう)」を見つけ、その上に施灸します。それが分からなければ、一番大きなものを「母疣」とみなします。「母疣」が落ちたら、周りのものも消えます。第3の方法としては、イボに効く「奇穴」にお灸をします。この奇穴は中指背部近位指節間関節の中央にあります。拳を握る時に、一番先に出ているところであることから、「拳尖(けんせん)」と呼ばれます。

 これらの場所に、米粒ぐらいのモグサで3回ぐらいお灸をするといいでしょう。イボの大きさによって、お灸の荘数(回数)も変わります。大きいイボほど、回数を増やします。施灸した後、1週間後くらいにイボが皮膚から剥がれるように落ちます。完全に落ちない場合は、もう一度施灸するといいでしょう。

(漢方医師・甄 立学)