【未解決ミステリー】先史時代の壁画(一)

誰が描いたのか?ピカソも驚愕したアルタミラ洞窟の芸術的壁画

「ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア(Nature Human Behaviour)」誌で発表された研究論文によると、豪州の西豪州大学(UWA)とメルボルン大学(UM)の研究者たちが共同で行った研究で、西豪州北東部のキンバリー地方で発見されたカンガルーを描いた洞窟壁画は約1万7300年の歴史があり、カンガルーの生き生きとした姿を描いた岩壁画として、現時点で豪州の最古のものとなっています。

また、今年の初めには、インドネシアのスラウェシ島で、少なくとも4万5千年前に描かれた、実物と同じ大きさのイノシシの洞窟壁画が発見されました。イノシシの絵は、カンガルーのペトログリフ(岩面彫刻)とスタイルが似ています。

原始人の洞窟壁画というと、多くの人は、原始人たちが木の葉を衣にし、狩りを終えた後、火を囲んで休み、その中の何人かが洞窟の壁に絵を描いて、その日の狩りの結果を記録するというイメージを持っているでしょう。しかし、そうではないのです。

【スペインのアルタミラ洞窟の壁画】
先史時代のルーヴル美術館」と呼ばれるラスコー洞窟のフレスコ画と同様に有名なのは、「先史時代のシスティーナ礼拝堂」と呼ばれるスペインのアルタミラ洞窟で発見されたフレスコ画です。 紀元前2万8千年前から1万年前までの間に創作されたと考えられるこれらの作品は、もはや単なる写実的なものではなく、芸術家の感性と精神性が感じられます。長さ18メートル、幅9メートルの洞窟の天井には、17匹の生き生きとした動物が描かれており、あるものは爪で地面を引っ掻き、あるものは横たわり、あるものは咆哮し、あるものは槍に突き刺さり、死の間際の苦悶の表情を浮かべています。

その周りには、イノシシの群れや、馬、雌鹿、狼が描かれています。 そして、複雑な洞窟には、現代人が見たこともないような動物までたくさん描かれていました。 もちろん、馬、バイソン、イノシシ、マーガンサーなど、現代人にも馴染みのある動物もたくさんいます。 現在、すでに家畜となっている動物たちの野生時代の荒々しさや残忍さが絵の中に見られ、画家たちの優れた画力と高い芸術性がうかがえます。

このアルタミラ洞窟の壁画は20世紀の最も著名な画家の一人、ピカソも「我々のうち、誰1人としてこのように描くことはできない」と羨望混じりにつぶやいたというエピソードが残っています。

(編集 天野 秀)