【未解決ミステリー】先史時代の壁画(二)

先史時代のルーブル美術館 フランス・ラスコーの洞窟壁画

これまで一世紀余りの間に、世界各地で多くの彫刻や洞窟壁画が大量に発見されています。その中でも、前回紹介したスペインのアルタミラ洞窟の洞窟壁画をはじめとする一部の洞窟壁画は、工芸の面および芸術の面から見ると、かなりレベルが高いものがあり、これは先史時代の人類の芸術がかなり発達していたことを証明しています。例えば、フランス南部で発見された1万7千年前の洞窟壁画がそうです。

1940年9月12日、フランス西南部のドルドーニュ地方モンティニャック村のヴェゼール渓谷で、4人の子供たちが犬を連れ野ウサギを追いかけていた際、偶然、子どもたちはある洞窟を見つけました。中に入ってみたところ、洞窟の中は巨大なギャラリーだったのです。

中でも不規則な形をした円形のホールに描かれていた絵は最も素晴らしく、天井には65体の大型動物が描かれ、長さが2メートルから3メートルの野生の馬、野牛、鹿、そして、最長5メートルを超える4頭の巨大な雄牛が描かれて、まさに驚くべき傑作でした。このラスコー洞窟(フランス語:Grotte de Lascaux)の壁画は「先史時代のルーヴル美術館」と呼ばれ、まさに時空を超えた芸術作品です。

ラスコー洞窟の壁画は、約1万5千年から1万7千年前のものであることが証明されており、洞窟の上部から壁の周囲まで、赤と黄色を基調とした1千点以上の壁画に覆われ、ほとんどが野生の牛、馬、また鹿、マンモスの像など、特に野生の牛と馬が多く描かれ、人間そのもののイメージも登場します。そして描かれた動物のほとんどは、今はもう存在しない1万年以上も前の太古の大型動物です。

歴史学者がこれらの壁画を長年研究した結果、洞窟内の壁画は一度に描かれたものではなく、同じ絵画の上に何度も描いたことが分かりました。また、これらの岩絵の多くは赤、黄、黒の顔料で描かれており、これらの色は、酸化鉄、赤鉄鉱、マンガンを含む顔料など、さまざまな鉱物性の顔料から作られています。粉末顔料を混合して油脂と調合したり、また、粉末顔料を骨管で岩肌に吹き付けたりなど、当時の道具や顔料がかなり高いレベルに達していたことも発見されました。

絵画のテクニックから見ると、画風は少々荒く豪放ですが、その技術はかなりレベルが高いものです。彼らは簡単な筆で動物の動態イメージを正確に描き出し、その微細な明暗の変化、透視法の巧みな使用と優美な曲線から見て、これは芸術の進化過程における頂点の作品であり、現代人でも、専門的な訓練を受けていなければ、とても描けないでしょう。科学的に検証されていなければ、1万7千年前のものとは到底思えないものです。多くの考古学的発見がそうであるように、ラスコー洞窟での発見は、多くの学者たちに何らかの答えよりも、多くの疑問をもたらしています。

(編集 天野 秀)