「冬の温度差に注意して!」心筋梗塞を防ぐ方法

寒い冬は、心血管疾患の多発期です。気温が低いと心筋梗塞脳卒中を起こしやすくなり、重度の後遺症が残ったり突然死に至ることもあります。

寒冷期に多くなる心血管障害

新光病院心臓内科の主治医、陳冠任氏は「心血管疾患の発生率は冬に多くなります」として、その主な原因は2つあると言います。

1つは血管の収縮です。低温下では血管収縮率が高まるため、血管を細くしてしまいます。そこで、普段から血管に問題がある人は、心筋梗塞や脳卒中を発症しやすくなります。

血管がすでに閉塞ぎみである患者の40~50%は、通常は異常を感じていません。しかし、気温が下がる寒冷期には血管が収縮しやすくなるため、血液の通り道が狭くなり、体に異常を起こします。

もう1つは、交感神経が活性化することです。自律神経は、交感神経と副交感神経に分けられますが、緊張ストレスを感じたときにはたらく交感神経が心拍数を上げ、血圧を上昇させるのです。これは、寒さに対抗するために交感神経が活性化して心拍が早くなるためで、血圧が上がるのは体を冷えにくくするためです。

陳氏は、「このような寒さに対応するための身体反応は、即時的には保護作用がありますが、こうした状況が続くと、心臓血管系統が不安定になります」と言います。

したがって気温が低下する寒冷期には、以下の 3つの症状が、心血管疾患に関連する可能性があることに留意すべきです。

1、 突発性の胸の鈍痛
胸が痛くなったり苦しくなったりします。「胸が重石で押されているような感じ」です。

2、 息苦しさ
普段そんなことはないのに、少し運動をすると息切れがします。例えば、階段を上がっても息切れしない人が、急に息切れし始めたら注意が必要です。

3、 動悸がする
心拍が速くなったり、不規則になったりします。多くの患者は、このとき心拍を自覚します。通常、そのようなことはありません。

これらはよく見られる症状ですが、心血管系の急変を反映している可能性があるため、病院での迅速かつ集中的な検査が推奨されます。

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心臓血管に関する突然死を防ぐ「4つの方法」

心血管疾患は一度発症すると生命の危険があるため、日常からの予防が不可欠です。

1、薬は規則的に服用、必要に応じて追加する
三高疾病(高血圧、高血糖、高血中脂質)の患者は、医師の指示のもと規則的に薬を服用します。勝手に使用を止めてはいけません。

基礎疾患のない患者で、冬に胸の鈍痛、息切れ、動悸、頭痛が起こった場合は、まず家で血圧と心拍を自己測定し、自分の血圧が高すぎるかどうかを把握することをお勧めします。不快感が持続する場合は、必ず病院で検査を受けてください。

2、温度差に注意する
すべての予防措置の中でも「保温が最も重要です」と陳氏は強調します。
外出時には、十分な防寒着を着用します。特に高齢者は頭部の保温のため毛帽子の着用をお薦めします。屋内から屋外へ出る時、朝起きて布団から出る時など、温度差に気をつけて保温対策をしましょう。

また、激辛の火鍋や羊肉のシャブシャブなどの鍋料理を食べて体が熱くなった人が、食事を終えて店外に出た時に冷たい風が吹くと、血管が収縮して心拍数や血圧が急激に上がります。場合によっては、これで倒れる人もいますので、急激な温度変化には十分注意してください。

運動は冬も奨励されますが、運動後の保温は十分にしてください。フード付きのウェアを着て、頭部を保温することをお薦めします。

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3、水分を十分に摂る
冬は、夏のように大量の汗をかくことはありませんが、かえって水分欠乏に気づくのが遅れる場合があります。体内の水分が不足すると、血液がドロドロになり、心筋梗塞を起こす要因になります。

夏と異なり、冬は意識して水分補給をすることが、あまりありません。しかし、季節に関わらず、成人は一般的に1日2.0~2.5リットルの水分を摂取しなければなりません。冬場は白湯か温水を飲むのが良いでしょう。

4、 平常の健康状態に留意する
平常から自分の健康には留意して、異常を感じた時は無理をせず、早めに医療機関を訪れてください。

陳冠任氏は、ある60歳の男性患者についてこう話しました。

「その男性は毎朝3~4時に起きて、賑やかな市場で働いていました。ある寒い朝、男性は起床後気分が悪くなり、家族に異変を告げた途端、起き上がれなくなりました。男性はすぐに病院へ搬送されましたが、到着前に心肺停止となりました。病院で救命措置を施しましたが、残念ながら、救命できませんでした」

発症当日の未明は特に冷え込んだことに加えて、血管が詰まった位置が致命的な個所であったため、この結果になったと言います。陳氏は「この方は、もともと血管の状態が悪かったのです」と言い、普段からのケアの重要性を訴えます。

陳冠任氏は、こう言います。「もしも、あなたの胸に鈍痛があるならば、決して我慢しないでください。治療を遅らせてはいけません。残念な結果になることを、何としても避けてください」
 

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)