今、「栄養のある食物」がますます重視されています。
最も栄養価の高い食材とは、何でしょうか。科学の学術誌『PLOS ONE』に掲載された研究では、1000種類以上の食べ物を評価した結果、1位となったのは私たちがよく食べるナッツ類のアーモンドでした。
「最も良い組み合わせ」の食材
体が毎日必要とする栄養素には、3大栄養素であるタンパク質、炭水化物、脂肪のほかに、ビタミンA、B、C、D、E、カルシウム、カリウムなどのミネラルが含まれます。
これらの栄養素は、いずれも不足してはならないものばかりです。
栄養素によっては、1日の推奨摂取量があります。
推奨摂取量をもれなく十分摂るため、いろいろな種類の食べ物を選ぶ方法が気になるかもしれません。実は、食べ物を選ぶのに不便な時は、できるだけ包括的な栄養を含む食品を選択すれば、少ない種類でも毎日の栄養摂取量を満たすことができるのです。
米国と韓国の研究者は、20歳の成人男性が毎日必要とする栄養量を基準に、全世界の1000種類以上の食材を分析するとともに、それらの1万種類以上の組み合わせの中から、含有する栄養が比較的網羅している食品を探し出しました。
つまりこれらの食品は、他の食品と一緒に食べると、日常で必要とする栄養素を最適なバランスで供給することができるのです。
その中で、上位3種の食べ物はアーモンド、バンレイシ(番荔枝)、魚のスズキです。
栄養食品1位:アーモンド
アーモンドは油脂性食品であり、毎日必要な主要栄養素である脂肪を提供します。
アーモンドは、良い脂肪であるリノール酸を豊富に含みます。
それらが体内でDHAに変換されると、血液中のコレステロールを低下させ、心臓血管を保護することができます。
栄養士の李佳蕙氏は、「アーモンドのリノール酸の含有量は非常に高く、100g当たり13.285g含まれている」と言います。実際には、1回あたり10~20gほどしか食べられませんが、リノール酸は十分に摂れます。
他のナッツに比べて、アーモンドは葉酸も多めです。葉酸は心臓血管を保護し、アミノ酸の代謝を助け、動脈硬化や脳卒中を予防します。
アーモンドは、カシューナッツやクルミよりもカルシウムが多く、100gで253mgあります。カルシウムは骨や歯の健康維持、神経系の強化、気分の安定、不眠症の予防に役立ちます。
同じく、アーモンドに豊富なミネラルであるマグネシウムも、骨の健康を強化し、筋肉の収縮と神経伝達を助け、心を穏やかにして楽しくしてくれます。
アーモンドはビタミンEも含み、強力な抗酸化力を持ち、細胞、血管を保護し、動脈硬化を防ぎ、心臓を保護し、癌を予防します。
李佳蕙氏は、「1日にアーモンドを食べる量はスプーン1杯。約8粒で十分です」と言います。味はプレーンか薄い塩味を中心に、甘味のついていないアーモンドを薦めています。
なお、油脂が多く含まれているアーモンドは、空気に触れると変質しやすいので、食べる分だけを袋から出して、残りは冷暗所に密封して保存します。
その意味で、アーモンドを購入する際は、大袋や大容器入りのものではなく、短期間に食べきれる量にしたほうがいいでしょう。古くなって、脂っこくなっていたり、味が変化していたら、もう食べないでください。
栄養食品2位:バンレイシ(番荔枝)
台湾では仏頭果あるいは釈迦果、つまり「お釈迦様の果物」という有難い名称でも呼ばれます。
バンレイシに含まれる主な栄養素は、豊富な炭水化物とタンパク質、ほかにカリウム、ビタミンB1、B2も多く含まれます。
カリウムは血圧を調節するうえ、利尿効果があり、体の余分な水分を排出することで水腫(むくみ)を予防することができます。
ビタミンB1およびB2は、炭水化物、タンパク質、脂肪の代謝に関与しているため、肥満の予防にも効果があります。
バンレイシにはビタミンCも豊富に含まれています。
鉄分の吸収を促進するだけでなく、血管の弾力性を維持します。さらに、心臓血管に脂肪が蓄積するのを避け、脳卒中を引き起こす確率を低下させます。
ビタミンCのもう一つの利点は、コラーゲンを合成し、皮膚の健康を維持することです。
バンレイシは果物なので、糖質の摂取量には気をつけなければなりません。バンレイシは、1回に半個くらいが適量です。
●栄養食品3位:スズキ(魚)
日本でも好まれるスズキは、低脂肪、高タンパク、高DHAの魚類です。
その他、顕著な栄養素はEPA、カリウム、リンなどです。DHAは視力を維持し、脳細胞を活性化するとともに、コレステロールを低下させる働きがあります。
EPAは中性脂肪を減少させ、心血管系を保護するとともに、動脈硬化を予防します。
リンは細胞膜と核酸の成分で、体のすべての細胞に存在し、体が毎日必要とする栄養素です。
スズキにはビタミンAやビタミンDも含まれています。
ビタミンAは上皮細胞をよく維持しますので、細菌やウイルスの侵入を防ぎます。さらに肌のつやを保ち、視力を維持するとともに、免疫機能を高める作用もあります。
ビタミンDは体がカルシウムを吸収するのを助け、骨粗しょう症の予防に役立ち、炎症を抑え、免疫を調整する作用もあります。
(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)
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