西夏王陵――東方ピラミッド
寧夏省銀川市の西へ約35キロ離れた賀蘭山の東麓には、中国に現存するもののなかで規模が最も大きく、保存状態が最も完全な帝王陵園の一つ――西夏王陵遺跡群があり、その形状から東方ピラミッドとも呼ばれています。明の十三陵や河南省鞏県の宋陵に匹敵するものです。
53平方キロメートルの敷地内には、9つの王陵、253の陪葬墓が分布しており、それぞれの王陵は独自の建築群を形成し、その敷地面積はどれも10万平方メートル以上となっています。
中でも3番目の陵園が最も広く、保存状態も最高です。考古学者によると、これは西夏国初代の皇帝・李元昊の帝王陵だといいます。
東方ピラミッド――中国では珍しい造り
3番目の陵園が発掘されるまで、東方ピラミッドは八角錐で、中は完全に詰まっていて、表面は7層になっていると認識されていました。しかし、この3番目の陵園の陵墓は円錐になっており、7層なのか、5層なのかは、まだわかりません。また、頂部へ通じる階段なども全くありません。陵園全体が西夏王朝の信仰と鬼神への崇拝にかかわっているとされています。
神秘的な「鳥人」
2000年4月30日、考古学チームは3番目の陵園で、保存状態が完全な人面鳥身の「鳥人」の像を発掘しました。専門家によると、これは『阿弥陀経』に記載されている「迦陵頻伽」ではないというのです。「迦陵頻伽」は「妙音鳥」とも呼ばれ、上半身が人で、下半身が鳥で、その声は非常に美しく、極楽浄土に住むとされています。これは、これまでの西夏王朝の歴史を研究する上で、初の考古学的発見となっています。
西夏王陵は、西夏王朝の歴史を知るための重要な文化遺産です。黄土で建設された西夏王陵は千年以上の年月の中で、大自然に侵食され、また、人為的な破壊により、多くの場所が空洞となっており、遺跡の保存を脅かしています。現在、西夏王陵遺跡群は、陥没の危機に直面しています。
――正見ネットより転載
(作者・意文/翻訳編集・天野秀)
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