漢方医学からみたドライアイ「その原因と改善方法」

目に乾きと違和感、ときには刺すような痛みさえも覚えるドライアイは、パソコンやスマホが手放せない現代人によく見られる症状です。

ドライアイを招く3つの原因

漢方医学からみたドライアイは、患者の有する体質から3種類に分類されます。
いずれの場合も、食事による療法や、症状に合った生薬茶を飲むことで改善できます。

1、肝腎陰虚(かんじんいんきょ)
漢方医学では、肝は血を貯蔵し、腎は精を貯蔵する働きがあるとされます。血と精は、人体内の重要な水分であり、また互いを生み出す元にもなっています。

肝腎陰虚とは、肝と腎の二つの臓器が弱まり機能不全になっている状態を意味します。
ドライアイに関係することとしては、体内の気と水分の流れに障碍があって、涙液が十分に分泌されていないことが原因です。

このような場合、積極的にとりたい食材は、ヤマイモオクラシロキクラゲ、クロキクラゲなど、粘液を多く含む食品です。
 

山芋は、肝腎陰虚によるドライアイの改善に効果があります。(Shutterstock)

2、肝火湿熱(かんかしつねつ)
肝火湿熱の体質をもつ人は、夜更かしや朝寝坊が多いなど生活習慣に節度がなく、いつもストレスを抱えています。そのため感情の起伏が大きく、怒りやすいことが特徴です。

飲食の面でも節度がないことが多く、バーベキューやフライ、辛い食べ物を好むほか、冷たい飲み物、特にビールが好きです。

顔色は赤みを帯び、眼球はやや赤いか、黄色を呈しています。
目に熱がこもるため、充血して乾きやすいことがドライアイの原因です。そのほか、高血圧や口臭をともないやすく、また便秘がちでもあります。

食事は薄味にして、野菜や果物をたくさん食べましょう。特に果物は抗酸化成分を多く含んでおり、目を保護することができます。キウイリンゴがお薦めです。
 

肝に熱がこもる人は、野菜や果物をたくさん食べるようにします。(Shutterstock)

3、気陽両虚(きようりょうきょ)
高齢になり、室内で長く座ったり、ベッドで寝ている時間が多い人は、体内の気(エネルギーの一種)が弱くなります。虚とは、その勢いが弱まる、あるいはエネルギーが不足することを指します。

陽気の消耗が多すぎると、体内のエネルギーが不足し、体内の気の循環が悪くなります。そのため、目を養うための液が不足し、水分代謝も悪くなります。

寒性の食物はなるべく控え、果物は適度に食べましょう。食事は温かいものが中心で、食事に生姜を入れると良いでしょう。果物は、龍眼(りゅうがん)がお薦めです。
 

気虚、陽虚の患者は温かい食事が中心で、生姜を入れると良いでしょう。(Shutterstock)

そのほか、ドライアイの症状改善に効果がある生薬茶として、肝腎陰虚には「クコ菊茶」、肝火湿熱には「決明子(けつめいし)菊茶」、気陽両虚には「黄耆(おうぎ)クコ紅棗茶」があります。

(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)