カルダモンは、ジンジャーやシナモンなどのスパイスと比べると世界的にポピュラーではないかもしれませんが、その素晴らしい効能から、飲食や健康において特別な地位を獲得しています。実はこのスパイス、インド料理の定番であり、「スパイスの女王」とも呼ばれています。
いくつかの黒い種子が入ったカルダモンの小さなさやは、甘くて香ばしく、さやも種も強い香りを放ちます。インド料理ではデザートの付け合せとして、またミルクティーにも幅広く使われています。
スパイスとしてキッチンでの存在感抜群なカルダモンは、疝痛(俗にいう「さしこみ」)、便秘、下痢、嘔吐、頭痛、高血圧、てんかん、そして血行不良などの循環器系疾患の治療に用いられる薬草でもあることをご存知でしょうか。カルダモンは以下のような形で使用することができます。
・ 種を残したままのさやごと
・ 粉末にする
・ハーブのサプリメント、通常はカプセルの形をしている
・ エッセンシャルオイル
カルダモンがもたらす5つの効果
1.心血管系の保護
カルダモンは心臓の健康を促進することが知られています。インドの中央食品技術研究所は、コレステロール値の高いラットを対象に、カルダモンのコレステロール低下作用について、ラットにカルダモンパウダーまたはカルダモンオイルを経口投与する実験を行いました。
カルダモンオイルを与えたラットの実験では、総コレステロールが31%、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールが44%減少することがわかりました。また、血清トリグリセリドを42%、肝臓トリグリセリドを33%減少させるという有意な結果が得られています。
また、他の動物実験では、スパイスに含まれる抗酸化酵素が、心臓を酸化から守り、高脂肪食や高コレステロール食のコレステロール値をコントロールする可能性があることが判明しています。また、カルダモンは高炭水化物食による肥満に対応し、体重増加やそれに伴う代謝の低下を抑制する効果があるようです。
2.抗菌
カルダモンは、腸内の病原菌を抑制する一方で、有益な細菌は傷つけないように保つ働きがあることが分かっています。特に、抗生物質の乱用による耐性菌の発生が急速に進んでいることを考えると、薬用植物の重要性はさらに高まっています。
3.胃腸の保護
インド医学や漢方医学などの古くからある治療法では、消化器系疾患の治療にカルダモンがよく使われています。スパイス抽出物は、胃酸過多、鼓腸、胃痙攣などの消化器系疾患を緩和する効果があるとされているからです。
「Journal of Ethnopharmacology」誌の研究では、カルダモンエキスが動物実験で胃の病変を約70%減少させることが示されました。また、カルダモンには、胃潰瘍や胃がんに関連するヘリコバクター・ピロリ菌から胃を守る働きがあるようです。
4.歯の保護
カルダモンが虫歯、歯周病、口臭に効果があるのは、その爽やかな味わいからだけではありません。雑誌「Anaerobic Bacteria」の研究によると、カルダモンの種子や果実には抗炎症作用や抗酸化作用があり、歯周病の原因菌の侵入を食い止めることができるとされています。
5.抗がん作用
科学的研究により、カルダモンの植物化学物質(インドール-3-カルビノールからジインドリルメタンまで)は、酸化ストレスを受けた細胞に影響を与えることでがんを予防する可能性があることが判明しています。
また、カルダモンとシナモンの組み合わせは、大腸がんのリスクを48%減少させるという抗がん作用の可能性を示しており、これは体内の抗酸化作用を高めることによって達成されます。
カルダモンには、喉の痛みやしゃっくりの治療薬、尿路系の治療薬、さらにはストレス緩和のためのリラックスハーブなど、多くの用途と効果があります。実際、そのエッセンシャルオイルは、ストレスを効果的に解消するためのアロマセラピーによく使われています。
(翻訳・金水静)
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