(前稿より続く)
「歩くだけ」では不十分
歩くことに、大きなメリットがあることは分かりました。
しかし、ただ「歩く」だけで十分かというと、そうでもないようです。泰安病院リハビリ科の医師である蔡育霖氏は、「ウォーキングは現代人に奨励されるべき運動ですが、普通の健康な人であれば、歩く運動だけでは十分な強度とは言えません」と話します。
人間の健康維持に役立つ運動には、ウォーキングなどの有酸素運動、筋力トレーニングなど負荷をかけて行う無酸素運動、および筋肉や腱をゆるやかに伸ばすストレッチがあり、それらがバランスよく機能しなければなりません。
蔡育霖氏は、「普通の体力をもつ人であれば、歩くこと以外に、中程度以上の運動も適切に取り入れたほうが良いでしょう」と言います。その例として、ランニング、縄跳び、エアロバイク、ウエイトトレーニングなどがあります。
さらに蔡育霖氏は、有酸素運動と無酸素運動を交互に行うことで、心肺機能の向上と筋力の強化を同時に達成することができると言います。
できる運動から始めましょう
しかし運動習慣が全くない人が、いきなりハードなトレーニングをすることは、危険防止の観点から薦められません。
やはり、日常のなかに運動習慣を取り入れ、少しずつ運動量を増やしていくには、できる運動から無理のない程度で始めるようにしてください。
当面は「ウォーキングを基本とする運動が向いている人」は、例えば次のような人です。
「座業が多く、運動習慣のない人」「高齢のため、激しい運動ができない人」「大きな病気から回復して間もない人」「心血管疾患や糖尿病など、慢性疾患をもつ人」「肥満の人」など。
肥満で体重が重い人は、いきなり無理な運動をすると膝関節を痛めてしまいます。
そのため、肥満の人はまず速めのウォーキングから始めて、体重を少し落としてから、徐々にランニングやエアロバイクなど中程度の運動をするようにしてください。
「何歩ぐらい歩いたらいいですか?」
日本のある研究に、「1日どれくらい歩けば、どのような病気を予防できるか」について、その歩数と効果を明示したものがあります。なかなか興味深い内容ですので、参考にしてみましょう。
寝たきりを予防するため、1日に、ゆっくり2000歩あるく。
4000歩で、うつ病を予防する。
5000歩で、認知症、心疾患、脳卒中を予防する。
7000歩で、各種がん、動脈硬化、骨粗鬆症、および骨折の可能性を軽減。
7500歩で、サルコペニア、体力低下を予防する。
8000歩で、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム(75歳以上)を予防。
9000歩で、高血圧と高血糖を低下させる。
1万歩で、75歳以下のメタボリックシンドロームを予防する。
1万2千歩で、肥満を回避する。
一般的には、あるく歩数が多いほど健康には有益です。ただし、蔡育霖氏によると、「高齢者はこの限りではなく、疲れすぎを防ぐため6000歩から8000歩で十分です」と言います。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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