米当局者はオランダ政府に対し、半導体製造装置大手ASMLの深紫外線(DUV)露光装置を中国に販売しないよう働き掛けている。ブルームバーグ6日付が報じた。
ブルームバーグは情報筋の話として、DUV技術の中でも先端プロセスに対応可能なArF液浸露光装置(ArFi)の販売を禁止させる狙いだと伝えた。
米国の働きかけが成功すれば、ハイテク分野で世界をリードしようとする中国の野望を挫くことになる。
オランダ南部・フェルトホーフェンに本部を置くASMLは、半導体を製造するための重要装置である「EUV露光装置」の世界市場を独占している。
現在の規制下では、ASMLは最先端の極端紫外線(EUV)リソグラフィーシステムを中国に販売できない。
DUV露光装置は最先端品と比べると「一世代前」の比較的古い技術となるが、それによって製造されたチップは、ロボットや自動車、電話、コンピューターなどに使用可能だ。
ロイターは情報筋の話として、米商務省のドン・グレイブス(Don Graves)副長官が5月下旬から6月上旬にかけてオランダとベルギーを訪問した際、この申し出をしたと伝えた。副長官はASML本社を訪れ、ASMLのピーター・ウェニンク(Peter Wennink)最高経営責任者(CEO)と面談したという。
いっぽう、ウェニンクCEOは今年初め、中国企業へのDUV露光装置の販売禁止に「反対する」と表明している。「それは成熟した技術であり、世界中の他の会社も同じような装置を作ることができるからだ」と説明した。
中国のファウンダ・セキュリティーズ(方正証券)によると、ASMLが昨年中国にArFi機器を81台販売したのに対し、日本のArF液浸露光装置メーカー、ニコンの中国向け販売台数は4台だった。
ブルームバーグによると、米当局者は日本に対しても、中国半導体メーカーに向けた露光装置の販売をやめるように、圧力をかけようとしているという。
台湾経済研究院のアナリストであるJohnson Wang氏は、「半導体製造において、露光装置は中国が代替品を入手するのに最も難しい装置だ」と指摘している。
「外国のDUV露光装置を入手できなくなれば、中国の半導体産業は停滞する可能性がある」とした。
(翻訳編集・李凌)
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