「森林浴」はレジャーとして人気があり、医療関係者の研究分野にもなっています。 日本では、「森林医学研究会」や「森林ヒーリング協会」が、森林浴を医療応用や健康増進のために活用しています。
科学者たちは、人々が森に近づくと、気分がリラックスし、ストレスが軽減され、血圧や心拍数が下がり、そして何より免疫力が強化されることを発見しました。 そのため、森林浴は病気を予防するだけでなく、病気を治すこともできるとわかったのです。
森にまつわる癒しのエピソードを2つご紹介します。
結核患者:森に移住して治癒
1950年代のベストセラー『私は森に住んでいた』には、結核を患い、あらゆる医療をし尽くしたが効果がなかった大都会の女性の事例が紹介されています。 あまりの絶望感で、彼女は心穏やかに死を迎えようと決心しました。
彼女はメイン州の松林の中の小屋に移り住み、冬は森の中で自分の好きなことをして過ごしました。 翌年の春、彼女は呼吸が正常になり、すべての不調が収まっていることに気付きました。 何人かの医者や地元の病院を受診し、いろいろな検査をしてもらいました。検査の結果、結核は治っていると診断されました。
末期がん患者:山林ハイキングして1カ月で腫瘍が消える
ディスカバリー誌(Discover)によると、ジョン・マツケ(John Matzke)さんは脇の下にメラノーマ(皮膚がんの一種)を発症しました。腫瘍を取り除くために何度も手術を受けましたが、がんは肺に転移し、医師はすぐに治療を受けなければ通常数カ月で死亡すると宣告しました。しかし、マツケさんは1カ月間休んで体力をつけてから治療に復帰することにしました。
山へハイキングに出かけました。健康的な食事をし、瞑想をして、自分の体の中には強力な血液細胞があり、がん細胞を破壊しているといつも想像していたのです。 1カ月後、治療のために病院に戻り、医師が肺を再検査したところ、大きながんの病巣は跡形もなく消えていました。
マツケさんがハイキングから戻ると、メラノーマ(皮膚がんの一種)の周りにハロー(白い後光)が差していました。これは、免疫システムがガン細胞を攻撃しているサインだと医師は判断しました。 つまり、マツケさんが療養している間に、何かが引き金となって、彼の免疫システムが肺から腫瘍を取り除いたということです。
森林浴には癒し、ストレス解消、免疫力アップの効果がある
いずれの場合も、自己治癒力は森以外の要因、例えば気分の変化、食事の変化、瞑想や意念 などが引き金となり、免疫力を強化することで効果を発揮する可能性があるのです。しかし現在では、森にいるだけで、心身のストレスが解消され、免疫力が高まり、がんや感染症に対抗する力が高まることを示す研究が多く行われています。
(つづく)
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