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100万人以上の女性を対象とした別の研究では、毎日激しく運動する女性は、週に2~3回しか運動しない女性に比べて、冠動脈性心疾患、脳血管疾患、静脈血栓塞栓症のリスクが高いことが示されました。
激しい運動は心房細動、冠動脈疾患、心筋梗塞のリスクを高める可能性があることが研究で示されています。 これらの激しい過度の運動は、心臓に大きな負担をかけ、拡張、心不全を引き起こし、心血管系の健康に有害な物質の放出を促進し、心臓突然死のリスクを高めると考えられます。
また、長時間の激しい運動は大量のフリーラジカルを発生させ、動脈硬化を促進させ、内皮機能障害を引き起こすと言われています。冠動脈の石灰化したプラークの存在と量は、心臓病の重要な指標となります。
3175人のアメリカ人を対象とした25年間の追跡調査で、推奨量の3倍(週450分以上)の運動をする人は、それほど運動しない人(週150分未満)に比べて、中年期に冠動脈硬化を起こすリスクが27%高いことが明らかになりました。これは白人ではさらに顕著で、冠動脈硬化の発症リスクは80%も高まりました。
一定の条件の「ポイント」を超えた運動は危険、
ミトコンドリアや血糖値にも影響する
運動の時間と強度には、人々の健康を左右する「ポイント」があります。 研究のレビューによると、40~60分以上の激しい運動を継続的に行うことは不要であるとされています。
「ポイント」を過ぎると、心臓にダメージが出始め、それだけでなく、代謝にも問題が出てきます。
スウェーデン運動健康科学アカデミーのミカエル・フロックハート博士は、エポックタイムズのインタビューに対し、「週に1、2回運動を始めると、すべてがうまくいき、ミトコンドリアがグルコースコントロールを改善する」と述べています。
「しかし、毎日毎日、本当に一生懸命に頑張りすぎると、ネガティブな状態に陥ってしまうのです」 血糖値コントロールの効果も、プラスからマイナスに変化します。
フロックハート氏が関わった研究では、毎日高強度のトレーニングを行う1週間の間に、被験者のミトコンドリア呼吸が著しく低下し、耐糖能とインスリン分泌が乱れることが示されました。 「ポジティブな変化が得られないのは、ストレスが溜まるからです」
フロックハート氏はさらに、過負荷トレーニングが始まると、身体は免疫反応が抑制され、テストステロン値が低下するなど、正常なホルモン分泌に影響を及ぼすアンバランスな状態になると述べています。 さらに、激しい過負荷運動によって生じるさまざまなストレス要因によって、睡眠の質が損なわれ、うつ状態になります。
激しい運動をすることでリスクが高くなる人
フランクリン氏は、高強度の運動が本質的に危険なわけではなく、適度な運動であれば「高強度の運動は心臓に良い」と強調しています。
しかし、激しい運動は、人によっては命取りになることもあります。
1.座りっぱなしの人
“激しい運動のリスクは、座りっぱなしの人が一番大きい “とフランクリン氏は言います。
ある研究では、最も活動的でなく、最も健康的でない人が、運動に関連した急性心筋梗塞のリスクが最も高いことが示唆されています。 290万人以上のフィットネス会員のデータベースによると、運動関連死亡の約半数は、運動頻度が低いか、週に1回以下の会員が起こしていることが分かっています。
(つづく)
(翻訳編集:井田千景)
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