居酒屋でときどき目にする表題のことば、「商いますます繁盛」と読みます。
「春夏冬」で「秋がない=商い」、「二升」で「升升=ますます」、「五合」で「半升=繁盛」ということです。なかなかしゃれています。
このような、なぞなぞの要素を取り入れたしゃれことばを「判じ物」と言います。江戸のころから、「櫛屋」さんのことを「十三や」というようになり、今でもそれを屋号に使っているお店がありますが、これは、「くし→九四→九+四→十三」ということで、「九=苦」と「四=死」の連想を避けるための命名ですし、「質屋」を「一六銀行」というのも「7→1+6」からきており、これらも判じ物の一つと言っていいでしょう。
このような判じ物は中国語にも多く見られ、例えば、『陳chen』という人が船に乗る時、自らを『chen』とは称せず、『耳er東dong』と言うことがあります。これは、『陳』という字をわざわざ「こざとへん(中国語では『耳刀』と言う)」と『東』に分解したわけですが、『陳』の発音が『沈』に通じ、縁起が悪いからです。
極めつけは、『一二三四五六七 孝悌忠信礼儀廉』。これで、『忘(王)八無恥』 (ろくでなしの恥知らず)となります。『八』を言い忘れているので『忘八』、この発音が『王八』(ろくでなし)に通じ、人が備えておくべき八徳のうちの一つ『恥』がないので『無恥』(恥知らず)ということです。いやはや、恐れ入りました。
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