嗅覚や味覚がなくなる  コロナ後遺症とワクチンによる長期にわたる被害が明らかに(2)

抗寄生虫薬イベルメクチン

イベルメクチンは、コロナ後遺症とワクチン関連症状の両方に対する有力な第一選択薬として浮上しており、臨床の場でその有効性が実証されている。

重症肺疾患の専門医であるピエール・コリー博士は、イベルメクチンを投与した患者の約70~80%に顕著な改善が見られたと述べた。そのような症状に対して明確に処方された薬ではないにもかかわらず、嗅覚や味覚が回復した患者もいる。

イベルメクチンは、炎症誘発性経路を抑制して炎症性物質の生成を妨げ、免疫系を調節して炎症剤と抗炎症剤のバランスのとれた比率を回復させる。

2022年の包括的解析により、イベルメクチンは感染の予防とウイルスによる被害の軽減において少なくとも20の役割を果たすことが示された。イベルメクチンはスパイクタンパク質とコロナウイルスに結合する可能性を示し、それらの排除を助ける。イベルメクチンはまた、困難な状況下でもエネルギー産生を促進することで、細胞の健康に寄与する。

低用量ナルトレキソン療法

ナルトレキソンは、アルコールやオピオイドの乱用に対処する薬として一般的に処方されている。しかし、通常1錠1~5ミリグラムの低用量で投与すると、ナルトレキソンは抗炎症作用と免疫調節作用を示す。

低用量ナルトレキソンは、炎症性抗炎症性の細胞やプロセスのバランスを調節するという理論が立てられている。低用量ナルトレキソンは、炎症プロセスを抑制する一方で、炎症が強い状態では抗炎症プロセスを促進する。

長期にわたるコロナやワクチン傷害に応用される以前、臨床医は低用量ナルトレキソンを線維筋痛症、クローン病、多発性硬化症の治療に適応外で使用していた。

コロナ後遺症やワクチン関連被害の管理という観点から、認定内科医キース・バーコウィッツ博士や神経科医ダイアン・カウンセ博士のような医師は、ナルトレキソンが神経炎症や神経障害の治療に有望であることを発見した。これらは嗅覚や味覚に関連する可能性がある。

ナルトレキソンは、コロナの重症および症状が長期化したケースでよく見られる炎症性物質の放出を減少させ、それによってこれらの特定の症状の軽減に役立つことが判明している。

オメガ3脂肪酸

アラバマ州を拠点とするカウンセ医師と看護師プラクティショナーのスコット・マーズランド氏は、オメガ3脂肪酸を治療法として利用することで、患者の嗅覚と味覚の回復に成功した結果を報告している。

リーディング・エッジ・クリニックでコリー氏と個人診療を共にしているマーズランド氏は、最初は1週間に1グラムのオメガ3脂肪酸の投与から始め、数週間かけて1日4グラムまで徐々に増やしていくという段階的なアプローチをとっている。マーズランド氏の観察によると、このプロトコルは患者の嗅覚と味覚の改善に役立っている。

オメガ3脂肪酸は細胞膜の必須成分であり、抗炎症作用を持つ。特に、神経細胞を保護し、血管の損傷を防ぐ効果がある。

急性コロナ症例を対象とした初期の研究では、症状が重篤な患者ほどオメガ3脂肪酸の濃度が低い傾向があることが示されており、これらの脂肪酸を十分に摂取することで症状の悪化を防ぐことができる可能性が示唆されている。

利点がある一方、オメガ3脂肪酸のサプリメントを高用量で摂取すると心臓症状を引き起こす可能性があるとマーズランド氏は警告している。オメガ3のサプリメント摂取と心房細動との関連性が研究で示されている。

抗凝固療法

カウンセ医師の患者の多くが、血栓形成を減らすためのトリプル療法を開始した後、嗅覚と味覚の改善を報告している。

この療法には通常、血栓形成を防ぐ抗凝固薬のアピキサバンと、血小板凝集阻害薬であるクロピドグレルとアスピリンが含まれる。クロピドグレルとアスピリンは、血小板の凝集を抑制し、血栓形成のリスクを減らしている。

場合によっては、カウンセ医師は、発酵大豆から作られるナットウキナーゼや、蚕から作られるセラペプターゼといった栄養補助食品のサプリメントを処方することを検討する。

抗凝固作用とは別に、ナットウキナーゼはスパイクタンパク質を分解する可能性が日本の研究で検討されている。スパイクタンパク質は、コロナ後遺症やワクチン関連被害に伴う異常血栓の発生に繋がっているので、ナットウキナーゼの付加的な効果は、血栓の問題に対処するのに有益であると認識されることがある理由を説明するかもしれない。

マーズランド氏は、嗅覚と味覚の喪失を経験している患者には、意図的にナットウキナーゼを1日2回、多めに処方している。このサプリメントは、神経が十分な酸素と栄養を受け取るのを妨げる可能性のある血栓の分解を効果的に助ける。

しかし、すべての患者がナットウキナーゼに耐えられるわけではない。肥満細胞の問題や大豆アレルギー、その他の過敏症を持つ患者は不耐性を示すことがあるとマーズランド氏は述べた。

検討すべき他の治療法

嗅覚再訓練は、嗅覚や味覚に障害のある患者に一般的に採用されている治療法である。カウンセ氏は、鼻の訓練にエッセンシャルオイルキットを使用し、嗅覚を取り戻すことに成功した患者の例を紹介した。

嗅覚や味覚の症状が軽い場合は、サプリメントが有効であるかもしれない。カウンセ氏はビタミンDやビタミンB12を提案している。これらのビタミンの欠乏は比較的一般であり、その欠乏を改善することで感覚の問題を解決できる可能性がある。

感染症にかかる時、体内に貯蔵されている亜鉛が枯渇し、この欠乏が嗅覚や味覚の喪失につながることが多い。亜鉛の欠乏が嗅覚や味覚に影響を及ぼす具体的なメカニズムはまだわかっていない。

バーコウィッツ氏は、嗅覚や味覚の喪失は、肥満細胞の活性化に起因するヒスタミンの過剰レベルに関連している可能性があると考えている。ヒスタミンは神経炎症や神経細胞障害を引き起こす可能性がある。

研究では、ヒスタミンがミクログリア細胞を活性化することが示されている。ミクログリア細胞は炎症性免疫細胞として働き、神経細胞を傷つける可能性がある。

バーコウィッツ氏は、患者の多くにヒスタミンの問題が潜んでいる可能性を考慮し、抗ヒスタミン薬と他の薬剤を併用した治療を開始することが多い。嗅覚や味覚の改善を報告する患者もいるが、その効果が抗ヒスタミン薬によるものか、低用量ナルトレキソンのような他の薬によるものかはまだ不明である。

局所麻酔薬の注射

星状神経節ブロックは、コロナ後遺症やワクチンによる損傷に対する、より侵襲的(程度が強い)な治療法である。

これは、首の両側にある神経の集まりである星状神経節に、即効性の麻酔薬を注射するものである。この処置は、慢性的な活動亢進を特徴とする自律神経失調症に伴い、亢進している交感神経系を一時的に鎮める。

「私たちは、その闘争・逃走反応を制御する首の神経をブロックしているのだ。コロナ後遺症に苦しむ1700人以上の患者を治療してきたクリニック、リパブリック・ペイン・スペシャリストの非外科的疼痛管理の専門医資格を持つジョシュア・ダンラップ氏は、エポックタイムズに語った。「これらの症状の多くが改善し、一部は完全に消え去る」

多くの患者は疲労、息切れ、味覚・嗅覚障害などの症状がすぐに改善したと報告しているが、星状神経節ブロックの有効性を裏付ける証拠は主にエピソードにすぎない。クリニックによって使用する麻酔薬の種類は異なり、それが成功率に影響する可能性もある。

2023年5月に発表された研究では、ダンラップ氏のクリニックの後遺症のある患者195人に対する星状神経節ブロックの影響を調べた。その結果、87.4%の患者が注射を受けた後に嗅覚が向上したと報告した。

ダンラップ氏は味覚障害と嗅覚障害の患者を2つのタイプに分けて観察した。治療にすぐに反応を示す人もいれば、徐々に回復する人もいる。

患者によっては症状が再燃することがあるが、これは強いストレスやトラウマと関連していることが多い。再活性化を防ぐには、ストレスに対する回復力を高めるトレーニングをすることが有効である。

冷たいシャワーを浴びたり、ヴィム・ホフ・メソッド呼吸法(腹から息を吸い込み、次に胸から息を吸い込み、そして無理なく息を吐き出す)を実践したりすることは、ストレスを軽減することが臨床的に証明されている。

すべての人がこの治療法に適しているわけではない。特に、麻酔薬に対するアレルギーや妊娠は、その効果に影響を及ぼしたり、禁忌となることがある。

(完)

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。