パーキンソン病は運動に影響を及ぼす進行性の神経疾患であり、脳の筋肉制御をつかさどる領域の神経細胞の損傷または死滅によって引き起こされます。 しかし、この病気が診断される時、何年も前から現れていた徴候や症状が見つかることがよくあります。この進行性の神経疾患の初期兆候を知ることは、最善の予防と治療を見逃さないためには重要です。
ストーニーブルック・パーキンソン病・運動障害センターの共同所長であるガイ・シュワルツ博士は大紀元に対し、パーキンソン病を評価する際、医師はパーキンソン病を前駆期と臨床期の2つに分類すると語りました。前駆期は、患者が気づく特定の症状によって特徴づけられ、臨床期は、医師が病気を診断するための検査を行います。
以下は、パーキンソン病の初期症状として注意すべきものと、見過ごされやすい行動の変化についてまとめました。
4つの主な初期兆候
1.震え
シュワルツ氏によると、パーキンソン病の最も一般的な初期には、主に手、腕、脚、顎、顔面などの震えがあります。これらの震えは安静時や仕事中に起こり、最初は軽度であっても時間とともに悪化する傾向があります。
2.運動機能の変化
パーキンソン病は、手足のこわばりや硬直などの運動障害を引き起こし、着替えや寝返りなど、日常生活に支障をきたすことがあるとシュワルツ氏は言います。また、運動の緩慢や動作速度の低下の可能性があり、簡単な作業でも時間がかかるようになります。
3. バランスと調整の障害
パーキンソン病はバランスに障害を起こし、転倒やそれに関連する怪我の可能性を高めます。シュワルツ氏によると、一般的な症状としては、前かがみの姿勢、足をひきずる歩き方、歩行中の方向転換の困難さなどが挙げられます。
4.嗅覚障害
嗅覚の喪失はパーキンソン病の初期症状として知られています。患者は、食べ物や花の匂いなど特定の匂いを識別することが困難になり、嗅ぎ慣れた匂いでも認識することが困難になる場合があります。
シュワルツ氏は、パーキンソン病またはパーキンソンの症状を正確に診断するためには、臨床医がこれらの4つの徴候、特に運動緩慢を認識することが重要であると強調しました。「動作の緩慢さは難しい指標であり、パーキンソン病の診断には動作の遅さがなければなりません。これがなければ、結論は出ませんし、確定診断ができません」
しかし、初期の非運動症状はパーキンソン病の発症の前触れになることがあり、明らかな運動症状よりも数年、あるいは数十年先行することがあります。病気の進行を遅らせる治療法はありませんが、早期に治療を開始することで、患者の機能と生活の質を大幅に向上させることができます。
見落としやすい4つの行動の変化
1. 夢の解釈
パーキンソン病の初期兆候の中には、本人ではなく友人や家族が気づくものがあります。
シュワルツ氏は、最も明確な初期徴候の1つは急速眼球運動(REM)睡眠行動障害であると説明します。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠中に突然身体が夢を再現する、時に激しい腕や脚の動き(殴ったり蹴ったり)を特徴とする睡眠障害です。
しかし、シュワルツ氏は、友人や親戚などが別室で寝ていたり、深い眠りについている場合など、患者の病歴が不完全なために、症状の完全な説明が入手できない場合もあると付け加えています。
2. 筆跡の変化
徐々に文字が小さくなり乱雑な文字になるなどの筆跡の変化も、パーキンソン病の初期症状である可能性があります。
これは細字書字症と呼ばれる症状で、文字の大きさや読みやすさが徐々に小さくなる現象です。この症状は、パーキンソン病による運動制御と調整の障害に関連しており、特に文字を書くのに必要な細かい運動能力への影響が原因となっています。
(つづく)
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