五千年の歴史を有する中華文化は、物質と精神に対する理解が深く、科学的な知識にも富んでいます。中国古代の科学は、宇宙、生命、人体等の方面において、現代西洋の実証科学をはるかに超越していましたが、現在ではその中国正統文化の正当性について理解する人はほとんどいなくなっています。
人は生まれてすぐに、五感を通して周囲の人や物を認識することを学びます。自らの感覚から周囲の事物を観察し、己の存在とその他の生命や事物を認識し、それをもとに自らの命運を決定していくのです。しかし、その認識は往々にして狭く、宇宙のその他の世界については無関係であるといえます。これは、ニュートン物理学に由来する限定された観察方法です。この限定された観察方法は、人が後天的に獲得した「常識」であり、一方でその常識がその人の思考、推理、判断を指導していきます。
中国古代の科学は、立体的かつ全方位的なもので、地上の人々と天との密接な関係を明らかにしていました。その科学観から、人々は天象の変化を観察し、人間界の大きな出来事を予測していたのです。
「三国演義」によると、諸葛亮(字は孔明)は自らが没する前夜、荒野において流れ星を観察し、自らの命運を悟ったとされています。これこそが「天意」です。
この種の天と人の間に存在する「天人合一」の見方こそ、中国正統文化の中にみられる重要理念の1つです。「天人合一」は、明らかにニュートン物理学の極限された観察方法を超越するものであり、人の常識を超えているため、全面的に西洋科学を信じきった現代人の頭には理解しがたいものです。
実際、現代科学を用いて「天人合一」を解釈してみましょう。量子力学では、粒子の動きは肉眼で見える物質の動きとは異なるものです。近年、量子力学の分野では粒子の「非局所性」(non-locality)が証明されており、それは常識を覆すような画期的な発見であるといわれています。
量子の「非局所性」とは、相互作用していない2つの粒子が、互いに遠く離れている時、一方の粒子に対するある物理量の測定が、他方の粒子に対する測定結果に影響を及ぼすことです。つまり、空間的、あるいは時間的にさえ離れている粒子どうしが、ある条件下では深い因果的関連性を持つことが観測されるのです。
一個の粒子に対して何らかの作用を及ぼすと、その瞬間にもう一個の粒子がそれを感知して、反応するというものです。この反応は、ほぼ瞬時に行われ、何らかの信号をそこに伝達する必要はありません。この理論によれば、2つの粒子がどんなに遠く離れていても、片方で発生した出来事は、即時に別の場所で反映されます。
量子の「非局所性」理論は、「天人合一」という中国古来の考え方に通じるでしょう。中国古代の科学は、地球、人類などの総てが宇宙の中にあり、目に見えない内在の連携があると考えていました。「天人合一」は迷信ではなく、現代科学でも説明できることなのです。
「天人合一」という宇宙観と、量子力学の「非局所性」は、大きくは宇宙と個との関係を表すことができ、西洋の実証科学に挑戦するものです。実証科学の見方は、一面的であり、「木を見て森を見ない」ようなものです。宇宙中の物体に存在する目に見えない連携は、実証科学を用いようとすると非常に理解しがたいものとなります。
実証科学の考え方は、機械的な解析で、個体の分析を通して全体を理解する「全体は固体の集合体」というものです。即ち、実証科学には、個体間には何の連携も存在しないという仮定があるのです。量子力学の「非局所性」は、実証科学が用いる機械的な解析方法が自らその説を全うせず、致命的な過ちを冒していることを明らかにしています。
実証科学の物質に対する認識は、非常に局限されたものであり、とても精神領域の研究には使えないものであるため、生命の本質に対する理解も深くありません。しかも、数学史上三番目の危機が今もなお最終的な解決を見ていないのです。そのため、有限の立場に立つ実証科学の公理化体系それ自身にも数学と同様、巨大な局限性があります。
中国の正統文化は、「神伝文化」と言われており、宇宙、人類、生命に対して深く認識していました。早くも数千年前に、中国の古代文明は「天人」の認識に到達し、全体と個との関係を看破していました。人類社会と宇宙とは一個の全体であり、天象の変化はそのまま人類社会に反映されます。このため、中国史上の歴代王朝は、天文・天象の観察を非常に重視し、暦法の計算だけでなく、人間界の変化をつぶさに観て政権の交代を予期しようとしました。
中国史上の多くの民間人が、天象の観察を通して世間の大事件と政権交代を予知してきました。現在の中国で見られる「脱党ブーム」も、人間界に現れた一種の天象といっていいでしょう。
いわゆる「ゲーデルの不完全性定理」によって、有限の立場に立つ限り数学がそれ自身無矛盾であることを証明できないという証明がなされた結果、数学が無矛盾であるということの証明が未だに模索し続けられています。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。