砂糖は本当に癌を引き起こすのか? (3)

続き

4.糖による突然変異、無秩序な細胞増殖

炎症とインスリン抵抗性は、細胞の遺伝子突然変異を直接促進し、それによって細胞の行動が変化する可能性があります。宋銘洋氏は、この場合、細胞の正常な生存周期が乱れると説明しました。細胞は定期的に死なず、無制限に成長し増殖でき、腫瘤の発生を促進してしまうのです。

これらのメカニズムは、多くの実験で証明されていて、砂糖による代謝の混乱は遺伝子組成の不安定性を引き起こし、がんを誘発する遺伝子変異を発生させます。また、高糖環境下での細胞の遺伝子が持つ突然変異の発生率は、通常の環境よりも5倍も高いです。インスリン信号に関連する他の遺伝子変異も、組織内で一部の腫瘤(しゅりゅう:できもの、こぶ)を引き起こし、特定の種類のがん(乳がん、子宮内膜がん、甲状腺腫瘤を含む)のリスクを増加させます。

5. 砂糖が腸内細菌叢に影響を与え、がんリスクを増加させる

「最近、人々は腸内細菌叢が(がん発症リスクに対する)重要性に気づき始めています」と宋銘洋氏は説明し、砂糖が腸内細菌叢の構造と機能を変化させ、「有益な細菌が有害な細菌に取って代わられる」ことにより、腸の腫瘤や遠隔の腫瘤の発生が引き起こされる可能性があると述べました。

宋銘洋氏は、腸内細菌が腫瘤の発生に影響を与えるいくつかのメカニズムを説明し、これらは最近の研究の焦点でもあります。

砂糖はいくつかの有害な細菌の成長を促進し、これらの細菌は癌性タンパク質を産生し、遺伝子変異を引き起こし、がんの発生を直接促進します。一部の有害な腸内細菌は代謝に影響を与え、細胞の行動に変化をもたらし、増殖が制御できなくなります。

さらに、一部の腸内細菌は免疫系統に損害を与え、免疫監視機能を低下させ、また一部の代謝物を生成し、これらの代謝物は腸から血液に移動し、循環系に入ることで遠隔部位で炎症と免疫の混乱を引き起こし、他の部位の腫瘤の発生を促進する可能性があります。

6. 砂糖による免疫機能の低下、がん細胞への抵抗力の低下

体内の免疫細胞は通常、問題のある細胞を排除し、体を安定させる役割を果たします。しかし、長期間にわたり大量の砂糖を摂取すると、免疫システムの状態が乱れ、突然変異した細胞やがんの発生を促進する他の経路に対抗できなくなる可能性があります。

さらに、フルクトース食のラットでは、がんの転移がより一般的です。

 

液体状の砂糖を最も多く摂取している人は、がん罹患率が46%有意に増加した (エポックタイムズ製図)

「フルクトース(果糖)とグルコース(ブドウ糖)は、体内で非常に異なった方法で処理されます」と、この研究に参加したコーエン氏は説明し、この実験は果糖が乳がんの成長を直接促進し、しかもこのメカニズムは肥満とは独立していることを証明しています。

また、別の研究によれば、加工食品や飲料で一般的に使用されているもう一つの添加糖である高果糖コーンシロップ(45%がブドウ糖、55%が果糖)が、結腸直腸がんの腫瘤の成長と進行を直接促進することが示されています。この研究を主導したカントリー氏は、近年、結腸直腸がんが若い人々の間で増加しており、これは高果糖コーンシロップの消費量が急増していることと関連があると述べています。

7.固体糖と比較して液体糖の摂取ががん発症リスクの増加とより関連がある

先に述べたスペインの前向きコホート研究では、固体糖と比較して液体糖の摂取ががん発症リスクの増加とより関連があることが明らかになりました。特に液体果糖と果汁中の果糖がその関係に顕著です。さらに、大量の液体果糖摂取はがんの死亡率を最も高く引き起こしているのです。

「癌のリスクがある人は、糖分の少ない食事と、それに続く運動量の多いライフスタイルをお勧めします。これが体内の糖分をコントロールするための『最良の方法』です」

とコトマンスキー氏はエポックタイムズ紙に語っています。

李路明