新型コロナワクチンの導入以来、相当数の被接種者がさまざまな副反応を報告している。
血栓や心筋炎といった広く認知されている副反応のほか、あまり公には議論されていないが研究文献に残っているものもある。
本稿では、米国のワクチン有害事象報告システム(VAERS)、英国のイエローカード副作用報告システム、南アフリカのVAERSデータベース、および多数の査読済み研究をレビューし、最も報告が多かった有害事象を重大性の順に列挙する。
ただし、VAERSが有害事象を経験した人からの報告に依存している受動的な報告システムであることには注意が必要だ。公式サイトには、VAERSは因果関係を究明するものではなく、ワクチンの安全性シグナルを示す「異常な、または予期せぬパターンを検出するのに特に有益である」と説明している。
いくつかの有害事象に関して、これまでもエポックタイムズは報じてきた。各項目では、より詳細な情報を提供している過去の記事へのリンクを添付しておく。
新型コロナワクチンの副反応はなぜ起こる?
ワクチンの副反応を治療している臨床医らは、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質がその主な原因であると考えている。
スパイクタンパク質は新型コロナウイルス(ウイルス名:SARS-CoV-2)の表面に存在し、これが細胞に侵入することで病気を引き起こす。新型コロナmRNAワクチンは、人体にスパイクタンパク質を作らせる。mRNAを取り込んだ細胞がスパイクタンパク質を産生すると、免疫反応が働き、ウイルスを攻撃する抗体を作るよう促すという仕組みだ。
他のタイプの新型コロナワクチンも同様の戦術を用いる。
しかし、スパイクタンパク質は炎症性と毒性が強い。臨床医らは、ワクチン接種後に抗体ができるにもかかわらず、説明のつかないさまざまな症状に悩まされる人々を観察してきた。
臨床医らは、スパイクタンパク質が障害を引き起こす6つの経路を提唱している。以下の通りだ。
- 免疫調整異常
- 血液凝固と血管障害
- ミトコンドリア機能障害
- 肥満細胞活性化症候群
- 自己免疫反応
- スパイクタンパク質の持続による組織損傷
また、mRNAワクチンに含まれる脂質ナノ粒子が報告されている有害事象の一因となっている可能性もある。脂質ナノ粒子が炎症性化学物質を活性化し、免疫活性に影響を与えることを研究が示している。
一般的な新型コロナワクチン有害事象
最も一般的な新型コロナワクチンの有害事象は以下の通り。身体全体に影響が及んでいる。
- 胸痛は心筋炎の徴候の可能性があるが、肋骨の関節の炎症、肺の炎症、胸部の神経障害に起因することもある。
- ワクチン接種後の倦怠感は、ほとんどが一過性のものだ。しかし人によっては、シャワーを浴びたり基本的な家事をこなすだけで疲れ果ててしまうほどの持続性と消耗性を持つ疲労を経験することもある。ワクチン接種を受けた人の約8〜80%が副作用として倦怠感を訴えており、ほとんどの場合は軽度だが、人によっては疲労が回復しないこともある。ワクチン接種を受けた498人の医師と歯科医を追跡調査した研究によると、約6%がワクチン接種後に長期にわたる倦怠感を報告している。原因として考えられるのはミトコンドリア機能障害だ。ミトコンドリアは細胞の発電所といわれ、ほとんどの細胞に存在し、体のエネルギーを生産する役割を担っている。
- 発熱や悪寒は身体の免疫系がワクチンを撃退するために現れることがあり、通常は一過性だ。
- 注射部位の腫れや痛みは、通常は一過性だ。全身が痛むこともある。
- 脇の下の痛みは、体の免疫が感染と戦っていることを示している可能性がある。脇の下には、免疫細胞を含むリンパ節が集まっている。これらのリンパ節が感染症への罹患や予防接種の後に腫れることで、脇の下が痛むことがある。
神経系の障害
神経系の障害は最も多く報告される有害事象の一つだ。ファイザーの試験では、これらの障害は一般的な有害事象および筋肉関連の有害事象に次いで3番目に多く、モデルナの試験では2番目に多かった。
動物実験やモデル研究では、スパイクタンパク質が血液脳関門を通過することが示されている。2023年のプレプリント研究では、死亡した新型コロナ患者の脳組織からスパイクタンパク質が検出された。ドイツの病理学者である故アルネ・ブルクハルト博士による脳の組織学的検査では、スパイクタンパク質が脳の血管を損傷することが示された。
スパイクタンパク質は人間の神経系に存在するタンパク質と構造的に類似しており、私たちの身体がスパイクタンパク質を攻撃することで神経が巻き添えになり、損傷を受ける可能性がある。mRNAワクチンにもプリオン領域があり、アルツハイマー病やパーキンソン病と関連のあるミスフォールドタンパク質の形成を促すことが示されている。
ギラン・バレー症候群
米国疾病予防管理センター(CDC)は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製ワクチンによってギラン・バレー症候群(GBS)のリスクが高まることを認めている。「Scientific Reports」誌に発表された研究では、新型コロナワクチン接種者はGBS発症率が42%増加することが判明した。
GBSは自己免疫疾患だ。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は、グリア細胞や脳の成長因子などの28以上のヒトのタンパク質と類似している。したがって、身体がスパイクタンパク質を攻撃した場合、産生された抗体の一部が脳や神経系も攻撃し、神経障害を引き起こす可能性がある。
認知症
新型コロナワクチン接種が認知症に直接関連しているわけではないが、認知障害、物忘れ、せん妄と関連しており、これらはすべて認知症の症状だ。
米国立老化研究所から助成を受けた研究では、老人ホームにいる高齢者のワクチン接種翌日のせん妄(2週間以内に解消)が報告された。
1万9千人以上を対象としたイタリアのNEURO-COVAXの人口ベースの研究では、ワクチン接種後に2%近くが認知機能低下を報告した。
発作
2022年10月、米国食品医薬品局(FDA)の研究者らは、mRNAワクチンを接種した5歳以下の小児の安全シグナルとして発作を検出した。てんかん患者332人を追跡調査した日本の研究では、1回目と2回目の新型コロナワクチンを接種した人の5.7%に、接種後の発作の悪化が観察された。
Global Vaccine Data Network(GVDN)のデータによると、モデルナ製ワクチンの1回目と2回目の接種は、発熱発作(発熱によって起こる小児のけいれん)のリスク増加と関連していた。モデルナ製ワクチンの初回投与とファイザー製ワクチンの4回目の投与は、全般発作のリスク増加と関連していた。
さらに、モデルナ製ワクチンの初回投与は、発作を呈する自己免疫疾患の一種である急性散在性脳脊髄炎とも関連していた。
歩行障害
ある研究レビューでは、新型コロナワクチンと関連した歩行障害の例が4件報告されている。Cureus誌に掲載された別の論文では、4例の神経学的症例研究が報告されており、1例はギラン・バレー症候群、1例は髄膜炎尿閉症候群から歩行障害を発症した。
フロリダ大学の研究者らは、ワクチン接種後に症状が悪化した数人のパーキンソン病患者を追跡調査したが、歩行障害が最も多かった。
ベル麻痺
ベル麻痺は顔面の筋力低下や麻痺として現れ、FDAの研究者らによって新型コロナワクチンの安全性シグナルとして認識されている。FDAのプレプリントによると、ファイザー製のブースターワクチンを接種した高齢者はベル麻痺の発症率が高かった。
GVDNのデータでも同様に、モデルナ製ワクチンとファイザー製ワクチンの初回接種がベル麻痺のリスク増加と関連していることが判明している。
振戦(ふるえ)
振戦(ふるえ)は脳や神経の損傷の徴候である可能性があり、運動制御の障害を引き起こす。
クリーブランド・クリニックの臨床医が発表した症例研究では、ファイザー製の新型コロナワクチンの2回目を接種した12日後に四肢に振戦を発症した男性の症例が報告されている。さらに、イタリアのNEURO-COVAX研究では、ワクチン接種者の1.5%が振戦を報告し、筋痙攣を報告している人も同数だった。
感覚の変化
しびれ、温度不耐性、痛み、感覚の欠如といった感覚の変化はすべて神経障害の指標だ。エポックタイムズでは、ワクチン接種後の神経障害について報じている。
神経障害とは、末梢の感覚ニューロンが損傷することだ。熱を感知する神経細胞であれば、損傷によって灼熱感を感じたり、温度を感知する能力が低下したりする。触覚を感知する神経細胞が損傷すると、しびれてピリピリしたり、感覚が鈍くなったり、電気ショックを感じることもある。
頭痛とめまい
ワクチン接種後に一時的な頭痛やめまいを感じる人は多く、日常生活に影響を及ぼすような持続的な痛みを伴う片頭痛を経験する人もいる。このような頭痛は、スパイクタンパク質によって引き起こされた神経炎症の結果の可能性がある。
脳への血流が減少するため、失神や一過性意識消失が起こることがある。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。