南極のH5N1鳥インフルエンザウイルス

南極大陸で初の高病原性鳥インフルエンザ確認、ペンギン群に脅威

研究員が南極大陸で初めて、高病原性鳥インフルエンザウイルスを確認し、南極に生息するペンギンに潜在的なリスクがあることを示した。 

科学者たちは最近、高病原性鳥インフルエンザウイルスが南極大陸に侵入したことを確認し、このウイルスが南極の広大なペンギンの群れの間で広がる可能性についての懸念が高まっている。 

スペイン科学研究高等委員会(CSIC)は2月25日に声明を発表し、アルゼンチンの研究者が南極半島のアルゼンチン科学研究基地のプリマベラ基地近くで死亡したトウゾクカモメを発見し、採取したサンプルから高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1を確認した。 

CSICは声明で、「分析結果は、南極大陸に生息する鳥類がH5亜型鳥インフルエンザに感染しており、少なくとも1羽の死亡した鳥が、高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAI)を持っていたことを示している」と述べた。 

「この発見は、南極と他の大陸との間に、自然の障壁があるにもかかわらず、高病原性鳥インフルエンザウイルスが南極に到達したことを、初めて示した」と述べている。 

アルゼンチン南極研究所も、このニュースを認めており、スペインの研究者と共同検査の後、死亡した鳥のサンプルにこの致命的なウイルスの存在を確認している。 

実際、南極大陸近くの島々では以前、鳥インフルエンザの症例が報告されていたが、今回確認された症例は、この地域の生物がH5N1鳥インフルエンザの流行リスクにさらされていることを一層強調している。 

南極科学研究委員会の研究員は、今年1月19日に南大西洋のフォークランド諸島(マルビナス諸島)で約35羽の死亡したパプアペンギンを初めて発見した。彼らは2羽のペンギンからサンプルを採取し、検査結果からこれらのペンギンがH5N1鳥インフルエンザウイルスに感染していることが明らかになった。地元政府によると、1月30日までに200羽以上のパプアペンギンの幼鳥と少数の成鳥がこのウイルスで死亡したという。 

研究者たちは、過去数か月にわたり、H5N1鳥インフルエンザで世界中の鳥類の数が大幅に減少していると報告した。南極大陸とその周辺の島々には数十万羽のペンギンが生息しており、このウイルスの南極地域での拡散は容易だという。 

最初は海鳥、トウゾクカモメ、カモメなどの鳥類にH5N1鳥インフルエンザの症例が見られたが、その後アホウドリ、ペンギン、ギンフルマカモメも感染したとの報告が相次いだ。 

その後、H5N1は南極の哺乳類動物に感染し、多数の海象(セイウチ)やアザラシが死亡した。このウイルスは北極の野生動物群にも猛威を振るっている。昨年12月、研究者はホッキョクグマがH5N1で死亡した最初の症例を確認した。 

(Photo by JUAN BARRETO/AFP via Getty Images)

英国衛生安全局は「ガーディアン」紙に対し、「現在、南極地域にいくつかの種類の動物に影響を与えている高病原性鳥インフルエンザの報告が多数ある。地元の野生動物に近づき、サンプルを採取することが困難であるため、南極大陸のH5N1症例はある程度の期間広がっていた可能性があるが、今になって初めて報告された」と語っている。

張雨霏