高齢になっても大腸内視鏡検査を受けることはできるのでしょうか?
カリフォルニア州オークランドで行われた研究によると、その答えは「場合による」かもしれません。この研究はJAMA Network Openに4月2日に発表されました。
研究結果からは、過去に良性のアデノーマ(腺腫性ポリープ)があった場合でも、高齢者における大腸内視鏡検査で大腸がんが検出されることは稀です。アデノーマは臓器や腺を覆う組織から始まり、大腸で成長することがあります。がんではないものの、悪性化してがんになる可能性があります。
アメリカでのスクリーニング大腸内視鏡検査で、40%のアデノーマを発見しています。見つかった場合、医師はその除去を勧め、その後、患者は定期的な監視検査を受けることを推奨されますが、監視期間については明確な指針はありません。
「米国の高齢化が進む中で、2024年に75歳以上の成人約560万人が年間監視検査を受けることになるため、サーベイランス大腸内視鏡検査(大腸癌発生のハイリスク群に対し行う)を定期的にうけることは、高齢に伴うベネフィット(恩恵)とリスクのバランスを理解する上で重要となります」と研究者は指摘しています。
大腸内視鏡検査のリスクには、出血、大腸に穴が開く、鎮静剤による影響、感染、心臓発作、重度の腹痛、脳卒中などがあります。出血と大腸に穴が開くことは特に、アデノーマや他のポリープを除去した高齢者に多く見られます。
高齢者の大腸内視鏡検査でがんが見つかる確率は
1%未満
アデノーマの病歴を持つ70~85歳の9601人を対象にした研究で、サーベイランス大腸内視鏡でがんが検出されたのはわずか0.3%でした。約12%で進行性アデノーマや進行性新生物が見つかりましたが、年齢による差はほとんどありませんでした。
進行性アデノーマの病歴を持つ患者は、非進行性アデノーマの患者よりも大腸がんや進行性新生物が検出される可能性が高いことが分かりました。
進行性新生物に関連する要因として、BMIが30を超えることや喫煙が挙げられます。アジア系や太平洋諸島系の人々は、進行性新生物のリスクが低いとされています。
個々のケアの重要性を浮き彫りにする研究成果
研究チームは、高齢者と医療従事者がケアをカスタマイズする際に、監視目的の大腸内視鏡検査が特定の年齢で逆効果になる可能性があることを考慮すべきだと指摘しました。
「監視による大腸がんの検出率の低さは、年齢と共に増えていく大腸内視鏡検査のリスクや負担を正当化しない」と彼らは指摘しています。
しかし、アデノーマの既往がある人々の生命を救う可能性があるため、大腸内視鏡検査の継続が重要であることも強調しました。
「10年以上の予想寿命を持ち、重篤な合併症がない高齢者、特に過去に進行性アデノーマがあった人々にとって、監視による早期の大腸がんや進行性アデノーマの検出は、早期治療に繋がり、良い結果に繋がります」と研究チームは述べています。
アメリカがん協会の推定によると、2024年には約10万6千人のアメリカ人が大腸がんと診断され、約4万6千人が直腸がんと診断されると予想されます。1980年代以降、高齢者の発症率は減少していますが、大腸がんは男性でがん関連死の第3位、女性で第4位の原因となっており、合わせるとがんによる死で第2位となり、一般的な死亡原因です。2024年には、約5万3千人のアメリカ人がこの病気で命を落とすと予想されています。
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