かつてプロレスラーとしても名を馳せ、今やハリウッドのアクションスターであるドウェイン・ジョンソン氏(Dwayne Johnson)は、アメリカの現状と政治的分断についての懸念を示している。
「フォックス&フレンズ」のインタビューでジョンソン氏は、近年の「ウォーク文化(人種的偏見と差別に対する警告)」と「キャンセル・カルチャー(著名人や企業など特定の人の発言や行動を糾弾する、ボイコットのようなもの)」に対する批判的な見解を示し、これらの動向がアメリカ社会にもたらす影響について語っている。また、将来的に大統領選挙への出馬も検討しているという。
50分以上にわたる「フォックス&フレンズ」のインタビューで、ジョンソン氏は次のように述べている。
「数年前、バイデン氏を支持することは、その時には最善だと考えていた。しかし、次の選挙では、それが適切でないと気づかされた。目指しているのは、国を結束させることだ」と彼は述べた。
4年前、彼は自分の影響力を使ってジョー・バイデン氏とカマラ・ハリス氏の選挙キャンペーンを支援した。選挙の4日前には、2人に対する敬意を表す動画が公開され、動画の中で「これまで大統領や副大統領候補を公に支持することはなかったが、あなたたち(バイデンとハリス)は豊富な経験と立派な実績を持っている……」と述べている。
「ウォーク文化」と「キャンセル・カルチャー」に対する懸念
4年後の今、ジョンソン氏は以前の意見を見直し、バイデン氏の推進する「ウォーク文化」や「キャンセル・カルチャー」に反対する立場を明らかにした。
「ウォーク文化」とは、特定の民族が社会問題に立ち向かい、例えば刑事司法の改革を進めて犯罪者を釈放し、結果として街に犯罪が広がることを指す。また、人種間の緊張を高める「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」運動も含まれる。
「キャンセル・カルチャー」は、警察の権威を否定し、犯罪者による暴力行為を許容する傾向がある。
例えば、ロサンゼルスでの「ゼロドルショッピング」やカリフォルニア州の「47号法案」(薬物所持や窃盗、店舗からの盗難、偽造小切手などの重罪を軽罪に格下げし、950ドル(約14万4158円)以下の盗難であれば、繰り返しても投獄されず、DNAサンプルも採取されない)がその例である。
カリフォルニア州出身のジョンソン氏は、こういう現代の「文化」に頭を悩まされている。しかし自身の影響力を考え、公の場での政治的な発言を控え、社会の分断を避ける姿勢をとっているという。
2024年のアメリカ大統領選挙が間近に迫り、インタビュアーがドウェイン・ジョンソン氏に「今年も動画を制作する予定か」と尋ねたところ、「もう作らない」との回答をした。
51歳になるジョンソン氏は、26歳でプロレスラーとしてキャリアをスタートさせ、複数回のチャンピオンに輝き、キャリアの頂点で引退し、映画業界に転進した。
彼の映画デビュー作は2002年の『スコーピオン・キング』で、その後『G.I.ジョー バック2 リベンジ』や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』などのヒット作に出演し、タフなキャラクターで幅広い層から愛されている。
彼の映画の全世界での興行収入は2018年7月の時点で104億ドル(約1兆5790億円)を突破している。
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