台湾で最も歴史のある台南は、閩南(びんなん、福建省南部)系の古い建物や、和洋折衷の歴史建築などが多く残っていて、街を歩くと懐かしい雰囲気が感じられます。
また気分が上がるB級グルメ、美味しいスイーツも盛りだくさんで、今年1月2日、米CNNの「2024年に訪れるべき最高の場所」では台南市が選出されました。
今回の台南の旅はタイムマシンに乗り、日本統治時代から残っている製塩の塩埕(えんてい)出張所で午後のティータイムを楽しんだり、古民家を改装した和風民宿を体験したり、熱血店長自慢の日本風焼き餃子などを堪能したり、日本風ツアーにしていきたいと思います。
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塩埕出張所が昭和の雰囲気漂うカフェに
17世紀中旬である明の時代から、台南塩埕あたりには天日塩田がありました。台湾で最初の塩干場だそうです。1899年の日本統治時代、台湾総督府は塩の専売制度を実施しました。
戦争後、台湾総督府による行政事業は国民党政府により受け継がれ、1971年、塩埕での塩干しや製塩に関する事業はすべて停止し、塩埕庁舎は使用されないまま放置されていましたが、2015年に台南市が修復作業を始め、2年かけて庁舎跡の修復をしました。
現在、塩埕出張所の愛称で台湾の人々に呼ばれ、新たな観光スポットとなりました。
建物に近づくと、カレーのいい香りがしてきました。中に入ってみると、昔の塩専売事務所は軽食やスイーツを楽しめるカフェに生まれ変わっていました。
建物内では火の使用が禁止されているので、IH調理器しか使えませんが軽食からスイーツまで、店長がすべて自分で作ることにこだわっています。さっそく、丹念に作ったカレーライスを注文しました。
出来てきたカレーはチョコレート・ポークカレー!。チョコを加えただけで、カレーライスがコク深い味わいに仕上がり、美味しくいただきました。他にも塩コーヒー、昔懐かしい昭和風プリン、季節限定のイチゴショートケーキなども販売されています。
店の定番である塩コーヒーを紹介しましょう。海塩、ローズソルトを入れるのではなく、味噌を混ぜた塩味コーヒーです。一口飲むと、キャラメルコーヒーのような香りが広がります。味噌本来の風味が絶妙に調和して、独特の塩味があるコーヒーです。
少し固めの昭和プリンと、プリン部分の下にある香ばしいキャラメルが美味しくて、コーヒーとスイートを口にした瞬間、幸せな気分に! このレトロ感溢れる建物で食事しながら、私は昔の台湾にいるのか、日本にいるのか分からない感じがしました。
この和風モダンな雰囲気漂う空間で食事するなら、窓際の席についたほうがオススメです。
ここは、窓から自然の光が入るし、ポートレートやスイーツ写真など撮影するポジションとしてはベストです。ここに来たら、写真撮影だけではなく、のんびりと、何か物を食べたほうがおススメです。
もともとここのスタッフだったお客が、昔の光景や建築内の施設などを懐かしく思い出しながらする昔話も店長に聞かせてもらいました。この和風な空間で、こうした製塩に関する珍しい昔話がこれからも続けて伝えられていくことになるでしょう。
路地裏にある日本家屋
台南市街の路地を入ると、台湾の家並みと違った、一軒の日本家屋を見つけました。実はこの家、予約制のスマートロックがついている民宿です。
中に入ってみると、目の前の畳の空間、全てのデザインが、まるで日本にいるような気がしませんか。お風呂場は狭くてもバスタブがあります。2階ロフトに上ると、居心地のいい寝室です。2つのダブルベッドがフローリングに置いてあります。余裕で立てれるユニークな寝室の間でありながら、ベッドで横になれば、目の前には大きいスクリーンがあり、映画なども楽しめるよう作られているのです。
休憩が終わったら、民宿が用意してくれた浴衣に着替え、台南で古い町並みの保存状態が最も良い神農街を歩いてみましょう。
神農街 浴衣に着かえて町を散策
300年以上の歴史を持つ神農街は、古い町並みの保存状態が台南で最も良い街です。港に近い繁華街であり、多くの家屋が清の時代や日本統治時代の初期の面影を残しています。最近、古い家屋に飲食店、居酒屋、文化創作ショップなどが進出することで、見映えするスナップ写真が撮影できる必見の観光スポットとなっています。
街は夜になると赤い提灯が灯され、街はお昼と夜では全く違う風情と変化し、煌びやかでありながら大人の落ち着いた雰囲気に包まれ、一段と美しくなります。散策して写真を撮るには最高です。
新美街:日本と台湾ミックスのおすすめグルメ
夕食は伝統と現代、日本の風情を感じさせる新美街にやってきました。台南で名所である赤崁樓(せきかんろう)の近くにひっそりと佇む隠れ古い新美街は、清の時代に米街と呼ばれていた繁華街です。交易が盛んに行われ、商人もこの街に集まってきたため、宿泊所がたくさんありました。
1980年代からこの辺りは歓楽街となったそうですが、昔の宿泊所跡や、朽ちていた庭は今、廃墟となり、その佇まいが撮影スポットとして人気を呼んでいます。
昔ながらの紙専門店、畳屋、お菓子屋、水産物問屋から、古い建物をおしゃれに改築した民宿、新しいカフェやスイーツ専門店、路地の塗り壁、ギャラリー、人気のバー、アイスクリームの移動販売車といった何の変哲もない路地の風景それぞれの新旧の調和に私は魅了されています。
伝統と現代と調和した百年超えの街、新美街は、訪れた人々に活気を与えるだけでなく、インスタ映えする「蛸屋本舖」、つけ麺店の「Nani 麵」、「錦町燒餃」、「鉄輪ジンギスカン」、「nest炭火燒肉專門」、「蜷尾家パン」、「宇作茶屋」、「嗎哪銅鑼燒」、スイーツ店の「花出」といった日本風の飲食店が集まってきていて、まるで一瞬で日本に飛んできたかのように散策することができます。
メインの食事からデザート、深夜の軽い食事までここで楽しめます。
さぁー、「錦町焼餃」の定番、焼き餃子を食べましょう。明るく開放的な空間から、夜の路地に流れる笑い声と餃子の香りがなんとも魅力的です。
餃子のあんは店主が考案した日台ミックスで、他にも店主による創作料理がたくさんあります。私たちが注文したのは「海王餃子」、「鐵鍋餃子」、「元気餃子」、鶏柚子ラーメンです。
まずはじめに、海鮮の「海王餃子」を食べます。「海王餃子」は台南名物のサバヒー(虱目魚)の練り物、大判の蝦、ハマグリのだしで浸かった干し貝柱といった珍味があんに入ってます。少し辛いタレにぴったりです。
「鐵鍋餃子」の具は豚肉、ニラと黄ニラです。熱い鉄板で生餃子を焼いてから最後に溶いた卵をかけ、海苔を撒くことにより、ぱりぱりの餃子の皮、トロトロの卵の皮、そして海苔の香りが一体となった柔らかな和風餃子ができあがりました。
「元気餃子」の中身は牛肉、ゴボウがベースの焼き餃子です。これは常連客にはたまらない一品です。皮は薄く、底はカリッと揚げられ、肉汁にゴボウの甘味はしっかりと保たれ、カリッとジューシーで濃厚な味わいを楽しめます。
餃子一個だけを食べただけで、情熱がなければこんな物は作れないことがわかりました。日本でも買えない美味しい焼き餃子です!
日本ではラーメンといえば餃子ですが、ここではラーメン定食もあります。ネギと細切りの鶏肉に柚子皮パウダーを加えた爽やかな鶏柚子ラーメンスープを飲んでみたら、ほのかな柚子の香りがあります。
店内に置いてある飾りは殆ど日本製の物ばかりで店主自身の着ている上着にも【台南純愛組】、店名の一部【錦町】など鮮やかな文字が、人目を引いています。
古い家屋に新しい魂を吹き込んできているこんな店主のおかげで、台南独特の日本スタイルの建物、料理などが生まれました!
1000歩的繽紛台湾から転載
(翻訳編集・蘇燕)
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